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不思議体験

cocoroさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夜の訪問者
長編 2022/07/16 07:55 2,924view
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 これは、私が小学3年生、弟が幼稚園だったの頃のお話です。

 当時、私達は1階建ての長屋のような社宅アパートに住んでいました。

父は単身赴任中で、その日、母は、配達の仕事が遅くなったうえに買い忘れたものを思いだし、夜の8時くらいに買い物に行かなければなりませんでした。

その時期、夜の8時はとても暗く、私たちにとってはとても怖いお留守番でした。

玄関は二重の扉になっていて外の扉は、大きな曇りガラスが一枚入ったスチール製の扉で、それを開けると上り口の段差があって、その上にもう一枚、中が見えない茶色の木の押し扉がついていました。

 母は、いつも私たちに誰か来ても絶対に鍵を開けないように、玄関のドアにはガラスがあるため、その前に立つと子供の大きさが推測できてしまうため、玄関ドアの前に立ってはならないこと、中扉から応対するようにいっていました。

今回もそのことを言われ、早く帰ってきてね、としぶしぶ留守番をすることになりました。

母はすぐに帰るからと急いで出ていきました。

玄関が閉まり、鍵のかかる音が聞こえ、車が家の前の駐車場から出ていく音が聞こえ、遠ざかっていくと急に私は寂しくなってきました。

 部屋の間取りは縦長につながった部屋で、一番奥の部屋が台所とトイレとお風呂があり、真ん中の部屋に寝室兼リビングのテレビの間、そして玄関に続く最後の部屋は客間兼勉強部屋で本棚とソフファー、勉強机が二個置いてありました。私は、暗い玄関先を見ていると怖いので弟と一緒に、真ん中の部屋へ移動して、テレビの声を大きめにして、二人で小さな声で話していました。

 なぜ、小さい声で話していたか、それは、自分たちの話声で周りの物音が聞こえなくなってしまわないように神経をとがらせていたからです。

大きな音のテレビからは離れていたため、映像と音で気を紛らわしますが、自分たちの声は、自分たちの耳の聞こえをさえぎってしまう気がして、部屋の中でたまにする床や柱がきしむような音さえも、敏感に聞き取っていました。

 どれだけ時間がたったのか分かりませんが、ものすごく長い時間が経った気がします。

弟は半分眠たくなってきていました。私は、弟が寝てしまうと怖さが増して困るので必死で面白い話をして起こそうとしていました。

 その時です。玄関の方でピンポーンと誰かが呼び鈴を鳴らす音が聞こえてきました。眠りかけていた弟も一気に目が覚めて、二人で目を見合わせました。

お母さんが帰ってきたのかな?

でも、おかしいいな?いつも、玄関を開けてただいま~って帰ってくるのに。。。。。

恐る恐る、玄関の方にいって様子をうかがっていると、こんばんわ~という、母の声に似ていますが、母が男の人の声色を真似しているかのような、変なちょっと低い声で、お母さんが私たちがちゃんとお留守番出来ているか試しているんだ!と思った私は、急にお姉ちゃんになって、夜だということをすっかり忘れて、昼間と同じように玄関の外の人に向かって、応対し始めました。

 はい、どなたですか?そういって、相手の反応を待ちましたが、返事が返ってきません。

弟と笑いました。お母さん玄関を開けるか試してるんだ!絶対開けないもんね!

二人で笑って、どなたですか?と二人でききました。

玄関の外に立っているのが誰かを装ったおかあさあんだと思っているからこその余裕っぷりでした。

また、こんばんわ~といいました。お母さんはいますか?と言われて、今留守ですと答えました。

そしたら、急に外の人は玄関のドアノブをガチャガチャと回し始めたのです。

二人で、えっ??という顔でびっくりして見合わせました。

なんか様子がおかしいな。。。。お母さん演技しすぎじゃない?

私は、外に向かってお母さん!?と呼びかけました。

ガチャガチャドアノブを回す音が急に止まりました。私は思い切って、内扉を少し開けて隙間から外のガラス越しに移っている人影をみようとしました。

でも、誰もいません。小さな薄明かりと真っ暗闇です。

見えないところに隠れていて、びっくりさせる気かなとか思いながらも、内扉を全開で開ける勇気はありませんでした。

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