思い出せない記憶
投稿者:J2 (8)
慌てて2階に上がりましたが、綺麗に窓がくり抜かれたように無くなっていました。
落ちた窓を2階に持って上がって取り付けます。
「なんで?」
その日は風もまったくなく、他の窓や戸は一切開けていませんでした。
そんなことをしていると、携帯にメールの通知が入りました。
「今何してる?元気してるかな?」と、元同僚からのメッセージ。
怖くなり、返事を無視して夜を迎えました。
外は閑静な住宅街。いつものように静かな夜を過ごしていた時。
「ミュン」と急に電子音のような音が数回聞こえました。
動物でも人でもなく、電子的で機械音とも言い難いその音。
退職前からの体調不良と退職後の朝の騒音も合わせて一気に怖くなりました。
母も「こんなの安心して生活できないよ。一度きちんと調べてもらおう。」
そう言い、除霊で有名な近所の神社に相談に行きました。
神主からは「老婦人の霊と、若い男性の強い念を感じます。心当たりはありますか?」と言われました。
全く思いつかず「分かりません。」と言い、そのまま除霊をして帰りました。
岐路に着いてから思い出したことが1つあります。
それは、前の会社でお世話になっていたお客様のこと。
その方は何年も会社との取引をしてくださっていた方で、老衰で亡くなられました。
老婦人の霊と言うのはおそらくその方ではないか。
じゃあ、若い男性というのは誰か。
ふと、その老婦人から「うちの子はどう?」と、お孫さんとの縁談を勧められたことを思い出しました。
しかし、その後そのお孫さんとどうなったのか思い出せません。
やがて除霊を重ねていくうちに、騒音や謎の体調不良に悩まされることがなくなりました。
朝晩スッキリ眠れるようになり、細かい作業にも集中できるようになりました。
その頃から再就職先を探し、新しい仕事を始めるようになりました。
転職してからは仕事に集中でき、私生活との両立もすごく順調です。
その後部屋の掃除をしていると、前の職場で働いていた時のメモ書きがいくつか出てきました。
そのメモ書きには当時の悩み事が書かれており、その中に若い男性についての記述もありました。
「お客様から勧められた縁談。断るのも失礼だから参加することになった。」
「2回目のお誘いを受けたが、断るタイミングを逃した。」
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