ほら、うしろにいるよ
投稿者:HLY (14)
これは私が大学病院で看護師として働いていた時のはなしです。
その日私は夜勤業務でした。
夜中の2時ごろになった時です。
一つの個室患者さんの部屋からナースコールが鳴ったのです。
「どうしました?」
「ちょっときてほしいのよ・・・。」
その個室の患者さんは少し認知症のある80代のおばあちゃんでした。
私は何かあったのかなぁと思いつつ懐中電灯を持ち、その患者さんの部屋へ向かいました。
夜勤業務に慣れているとはいえ、夜中の病院というのは中々怖いものがあります。
そのうえ個室部屋は患者さん一人なので閉ざされた空間という感じがして夜中はドキドキするものです。
「どうしました?」
私はそのおばあちゃんの個室のドアを開けました。
夜間は個室とは言え、何か特別な事がない限りは部屋の電気は着けずに対応します。
「看護師さん。困っているのよ~。さっきっから知らない方が部屋に入ってきちゃうのよ・・・。」
私は懐中電灯で患者さんの顔付近を照らしながら
(認知症の症状で何か勘違いしてしまったんだろうな)と思いながら
「大丈夫ですよ。私たち以外おばあちゃんの部屋には入ってきませんからね。
安心して寝ていいですよ。」
となだめていました。
「そうかしら。それなら良いんだけど。。。」
おばあちゃんも納得し部屋を後にしようとしたときです
「あ!!看護師さん!ほら後ろからはいってきたわよ。男の方よ。」
私はおばちゃんの方を向いており、入口は私の背後です。
入口の開閉の音もしていませんし、他の看護師が来たわけではないようです。
「え。だれ?」
私は体が固まり後ろを振り返ることができません。
「ほら看護師さん。すぐ後ろに立っているんだけど。どなた?」
おばあちゃんは続けます。
何かいる。
何かの気配を感じました。
でも振り返っちゃいけない。なぜかそう思いました。
私は動くことも声を出すこともできずに固まっていましたが、何とか後ろを見ずにナースコールを押しました。
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