涙を流す骨壷の話
投稿者:HLY (14)
私には、叔母がいたようです。いたようだ、という表現にするのは、叔母が生後間もない頃に、亡くなったからです。
私の母も、伯父もまだ生まれていない頃に、生後僅かでこの世を去りました。これからお話するのは、この叔母についてのお話です。
当時叔母を看取った私の祖父母は、予期せぬお別れだったし、まだ若くてお墓を持っていませんでした。だから、叔母は祖父の先祖代々のお墓に入れてもらうことになったようです。でも、そのお墓がある場所は、祖父母の家から車で片道3時間ほどの遠い田舎にありました。ちゃんとしたお仏壇もありませんでした。小さな押し入れに、お仏壇代わりの棚を作って収められていました。
祖父母にとって初めての子どもを失ったことによって、2人はかなり悲しんだようです。亡くなって55年近く経つ今も、悲しみが伝わります。実際に一緒にいれたのは本当に少ない時間だったと思いますが、2人にとってとても大切な時間だったんだと思いました。
祖父母が歳をとって、その家でもお墓を用意することになりました。叔母は、その事により、田舎のお墓からお引越しすることになりました。お引越しの日、親族に見守られてお墓から骨壷を出すと、溢れんばかりの水が出てきたそうです。まだ赤ちゃんだった叔母の小さな骨壷から出てるとは思えない量の水です。
祖母は当時のことをこう振り返っています。「お引越ししたら、1人になっちゃうから寂しかったのかな。でも、両親の近くにこられて嬉しかったのかな。普通とは考えられないほどの大量の水だった。」
普通、骨壷から水が出るなんてことはないと思います。とても不思議な出来事だと思いました。
不思議なことはそれだけではありませんでした。
私の祖父、つまり叔母にとっての父親が10年ほど前に亡くなりました。納骨をする日、天気予報は晴れだったのに、バケツをひっくり返したような尋常じゃない雨が降りました。雨が強すぎて、傘でも間に合わないくらいでした。
ずーっとお墓でひとりぼっちでいた叔母が、お父さんが来てくれて嬉しいと思ったのかもしれません。私の母も、伯父も涙脆くてすぐに泣きます。きっとその姉である叔母も涙脆くて、こうやって感情を伝えているのだろうと思います。
骨壷に涙が溜まっていたのかな