誰かが飛んだ
投稿者:狐の嫁入り (6)
短編
2022/06/09
14:38
2,295view
しかも。
「女の子が飛び降りたぞ!!」
「おい誰かっ!?」
三番ホームだ。皆が口々に騒いでいる。
一番ホームにいた人々が慌てて三番ホームへと目をやる。
駅員達も何事かと騒ぎ始めた。
スピーカーからは事故を知らせるアナウンスが飛び交い、周囲は大混乱に陥っていた。
「誰も……居ません」
ふと線路から聞こえた。
「居ない……?」
京子さんはボソリと言って再び線路下に目をやる、すると先程電車の下を調べていた駅員が同僚に困惑しながら話していた。
京子さんに疑問が過ぎった。
なぜ女が居ないのか。
周りにいた人達も女性が飛び降りたのを目撃していたはずなのに。
しかも三番ホームの騒ぎは一体……。
考えれば考えるほど頭の中は混乱してゆく。
ふと、京子さんは再度三番ホームに目をやった。
「いや確かに白いセーター着た女が飛び降りたんだよ!アンタも見たよな!?」
「ああ!」
「いやしかし……」
男達の怒鳴り声が微かに聞こえてくる。
白いセーターの女……?
先程京子さんが見た女と同じ服装だ。
一番乗り場で飛び降りたはずの女が、次は三番ホームで飛び降りた?そんな馬鹿な……。
「おい、三番ホームでも女が見当たらないってよ!」
「えっ?まじ!?ヤバくない!?」
野次馬たちが更に騒ぎ出す。
どうやら三番ホームでも飛び降りたはずの女が見つからないらしい。
京子さんはヨロヨロと立ち上がると、二番ホームへと近付き三番ホームに目を向けた。
瞬間。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 7票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。