私を救ってくれた人

私はその日を転機に、変わりました。

ゆかりちゃんのようになりたかったからです。

それまで誰にも聞いたことがなかったゆかりちゃんのことをクラスメイトに勇気をもって聞いてみました。

そしたら懐かしそうにいろいろと話してくれて、それをきっかけにクラスメイトとの溝が埋まり、友達を作れるようになりました。

そしてゆかりちゃんが本当に転校生だったことを知り、あの日川でのことが自分の都合のいい夢幻なんかではなく、本当にあったことなのだと確信しました。

それ以来、辛いことがあるとあの川に行ってぼんやりするようになりました。

もしかしたらゆかりちゃんとまた話せるかもしれないと思ったからです。

残念ながらあの日以外にゆかりちゃんに会えたことはありません。

今思うと、ゆかりちゃんは死んでからもずっと私のことを心配していたのではないでしょうか。

なかなか田舎で馴染めない転校生の私を過去の自分に重ねてしまい、それが気がかりでこの世に留まっていたのかもしれません。

今は家でピンポンダッシュも起こらないし、不審な音やポルターガイストのような現象が起こらなくなりました。

もしかしたら登校拒否だった私がクラスに馴染んだのを見届けて、やり残したことがなくなったのかもしれません。

今天国にいることを願うとともに、いつか私を救ってくれたお礼を言いたいと思っています。