犯行の動機としては十分なのかもしれない。
僕は刑事たちから聞かされた事件の話を、一つ一つ思い出して考えてみたが、何日経っても僕の記憶が間違っているとは思えなかった。
なんの根拠にもならないが、ついさっき起きた出来事のように生々しさがあり、記憶には未だ体温が残っていた。
それに、すでに終わっている事件について、わざわざ刑事が聞き込みに来るなんてことがあるのだろうか…?
多少の記憶の混乱はあったが、それは時間とともに改善する可能性があると、僕は無事に退院することが出来た。
特に大きな支障をきたすようなこともなく、問題なく日常生活を送ることが出来るだろうとのことだった。
実家に戻った僕がなんの不自由もなく日常生活に慣れ始めた頃、真相を知るために彼女に連絡を取ろうと電話を掛けてみた。
虚しくコールされる呼び出し音には誰の気配もなく、何度掛けてみても繋がらなかった。
しかしその日の夜、彼女の番号から掛け直されてきて、彼女の番号はすでに他人の番号になっていたことを知る。
なんの手がかりも得られなかった。
僕は彼女の実家に向かうことにした。
彼女の実家と僕の実家は飛行機の距離で、幸いにも事件で肩身の狭い思いをしている様子はなかった。
しかしアポなしで来てしまったことと、自分たちの娘が原因でそれなりに大きな事件になってしまったことなどを考えると
呼び鈴を鳴らす手が固まり、何度も押すのを躊躇った。
日曜の午前中ということもあり彼女と御両親は在宅だった。
モニターに映る僕の顔を見るや、外れそうな勢いでドアが開き、驚く僕の目の前で二人揃って土下座した。
「娘が馬鹿なことをしたせいでとんでもないことになってしまった!生きていて良かった!目を覚ましてよかった…」
震える声で涙を流し、玄関の冷たい三和土に、何度も頭を擦り付けながら、深い謝罪を繰り返すのだった。
僕は事件から6年の時間が経過していることで、どこか他人事のように感じていること、ご両親も知らなかったことで
二人にはなんの落ち度もないことなどを強調し、彼女に事件当時のことを聞かせてもらいに来ただけだと、本来の目的を告げた。
僕にそれ以上の他意はないことを理解したのか、二人は2階にいた彼女を呼んできてくれた。
僕の突然の来訪に、彼女は目を見開いて言葉を失っていた。
両親以上に繰り返される謝罪が終わり、やっと泣き止んだ頃に彼女の口から聞けた話。























素晴らしい❗
おいおいおい・・・
ためはち