もってかえって

「その花どうしたの？」

花瓶に花が飾ってあって、俺はその日不思議に思った。嫁さんはそういう事をするタイプではなかった。息子がどこかから拾ってきたらしい。

「ふーん」

最初は気にも留めなかったけど、どうにも息子の様子がおかしくなってたのは多分その日からだ。気づくのに遅れたのは息子は元々どうも発達障害なんじゃないかと思う節があり、一度病院に連れて行かないかと相談したくらいだ。申し訳ないが仕事が忙しく、嫁さんに任せきりだったんだけども。

で、話戻すと、息子が何か一人遊びで誰かと喋ってるような感じみたいになったらしい。俺も虚空に話しかけてるの何回か見ていた。誰もいない所に話しかけて、うんうん頷いてたり。単純にそういう遊び始めたんだなと思ってた。

「かーちゃ、この子にもあげて」

おやつの時間にそんな感じに喋って誰もいない所をパンパン叩いてオヤツ置くように指示したりとかもしているだとかそういう話も息子が寝てから聞かされた。

で、次の休みの日になって近くのスーパーに買い物行ったんだ。そしたらさ、途中の道で何か花置いてあるのが見かけられてその時、はじめて息子がどっから花持って帰ってきたかわかった訳よ。

事故現場だわ……。

そうなってくると、息子は誰に話しかけてるんだろうってなると気味悪くなってくるよな。急いで、家帰ってその事嫁に言った。で、お祓い行くって言って息子連れ出そうとした時、嫁さんが手掴んできたのね？

「本当にお祓いしちゃう？」

こう聞いて来た時の嫁さんの表情ちょっと俺一生忘れられそうにない。