霊柩車を見たら親指を隠せ
投稿者:足が太い (69)
「霊柩車を見たら親指を隠せ」と、子供の頃に両親や祖父母から言われたことはありませんか?
親指を隠すのは親指が魂の出入り口だからで、霊柩車に乗せられている亡くなった人の魂が親指を通して自分の体に入ってこないように、あるいは自分の魂が親指から抜かれないようになんだそうです。
私の住んでいた大阪でも、霊柩車を見たら親指を隠すのがポピュラーな都市伝説でした。
しかし、中学生の時に転校してきたAちゃんは、祖母から「霊柩車を見たら死んでほしくない人の指を隠せ」と、教えられたそうなのです。
例えば、お父さんに死んでほしくなければ親指、お母さんに死んでほしくない場合は人差し指を隠すといったように。
中指は兄か弟、薬指は姉か妹で、小指は自分の子供なんだとか。
Aちゃんはその都市伝説を信じていたようで、霊柩車が通る度に両手を、親指を中に入れるグーの形にしていました。
もう1つ、Aちゃんが教えてくれたのが、「亡くなった人の指で霊柩車を指さして『かえれ、かえれ、かえれ』と3回唱えると、亡くなった人が生き返る」という都市伝説。
もしもお父さんが亡くなったとしたら、親指で霊柩車を指さして「かえれ」と3回唱えれば、お父さんが生き返るということです。
私は、Aちゃんからこの話を聞いた時、「絶対嘘だ、迷信だ」と思っていました。
Aちゃんも恐らく、半分は信じていたけれど、もう半分では迷信だと思っていたはずです。
だからこそ、Aちゃんは安易にこの都市伝説を試してしまったのでしょう。
ある時、Aちゃんのお父さんが事故で亡くなりました。
しばらく学校を休んだAちゃんは、喪が明けてからようやく登校してきたのですが、その顔色といったら青を通り越して紙のように白いのです。
お父さんが亡くなったことが余程堪えたのだと思い、心配していたのですが、放課後の帰り道でAちゃんがぽつりと言った言葉で、顔色が悪かった理由が分かりました。
亡くなったはずのお父さんが生き返ったのだそうです。
Aちゃんは、お父さんが亡くなったことがショックで、「亡くなった人の指で霊柩車を指さして『かえれ、かえれ、かえれ』と3回唱えると、亡くなった人が生き返る」という都市伝説を試してしまったのです。
私「お父さんが本当に生き返ったなら、それは良かったんじゃない?」
Aちゃん「あんなのお父さんじゃない…」
Aちゃん「確かに生き返ったよ。首の骨が折れて一度は死んじゃったけど、火葬される前に生き返ったの」
Aちゃん「でもね、お父さんじゃなかった。アレは絶対お父さんじゃない、アレは化け物だ」
Aちゃんが言うには、Aちゃんのお父さんは普通に歩いて普通に話して普通に食事をするのだそうです。
しかし、Aちゃんのお父さんの首は折れたままなので、不自然に首がねじ曲がっている状態です。
普通ならば息が出来ないはずなのに、Aちゃんのお父さんは今まで通り、≪普通≫の日常を過ごしているのだとか。
Aちゃん「それにね、お父さん、血がしたたる生のお肉しか食べなくなっちゃった。この前はどこから盗ってきたのか分からないけれど、生きたままの鶏の血をすすってたの。あと、お父さんの目が…」
私「目?目がどうしたの?」
Aちゃん「時々、黒目のところが縦に伸びてるの。まるで動物みたいに」
Aちゃんの話しを聞いて、私は「動物霊の中には人に取り憑いて悪さをするものがいる」といった話しを思い出しました。
もしかしたら、Aちゃんのお父さんの体には動物霊が取り憑いているのではないかと思ったのです。
しかし、Aちゃんのお父さんに動物霊が取り憑いているとして、どうすればその霊を剥がせるのか分かりません。
結局、私もAちゃんもはっきりした解決策を見つけられず、その日は早々に家に帰ってしまいました。
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