何かの会社
投稿者:ヤマネ (18)
あれは、私がまだ幼稚園通っていた頃のお話です。
私が通っていた幼稚園には、裏手に古い建物がありました。三階建ての大きな建物なのですが、当時の私はその建物が何なのかよく分かっていませんでしたし、気にしたこともありませんでした。
ある日のお昼休みのことです。園庭に出て遊具で遊んでいた時のことでした。ふと、その建物の方に目をやると、幼稚園に面した窓際に男の人と女の人が立ってこちらを見ていました。また、少し離れた窓のところにも女の人が1人立っていました。
みんな同じような服を来ていたので、制服だと思いました。当時、父親が制服を着て仕事に出かけていたので、あぁここは何かの会社なんだなと思ったのです。その3人はただじっと幼稚園の方を見ているだけで、特に何かをしている様子はありませんでした。
私は会社なんだと納得したことで、様子を伺うことをやめ、遊ぶ方に夢中になりました。
しばらくして、父と一緒に車に乗った時のことです、ふとその事を思い出し、父にあの建物は何の仕事をするところなの?と聞きました。すると父は不思議そうな顔をして、あれは会社じゃないよ、昔、自分たちが通っていた中学校だよ、今はもう使われてないんだよと。
それから何年かして、小学校の高学年になった時、その使われなくなった校舎に行くことがありました。校舎に入る入口には大きな鎖がぐるぐるに巻かれ、鍵がかけられていました。幼い頃の記憶なのですが、不思議と未だに鮮明に覚えているのです。いったいあの人たちは誰だったのだろうと。
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