相席した人の様子がおかしい
投稿者:ぴ (414)
どれくらい眠ったのでしょうか。はっとして目が覚めたら、窓の外が薄暗くなっていてぎょっとしました。
地元の駅まで3時間ほどで到着するはずなのに、寝過ごしたのかと慌てました。
隣を見ると例の相席の人の姿がありません。
きっとどこかの最寄りの駅で、降りたんだと私は思いました。
一体どこまで来てしまったんだろうかと私は不安になり、横の向こうの席にいた人に、「すみません、ここどこですか?」て訪ねてみたのです。
向こうの席に座っていたはっとするくらい綺麗な女性で、私の問いに、「●●ですよ」とにっこりと上品に答えてくれました。
私はその地名を聞いて、「あ、降りなくちゃ」と思ったのです。
今思い出そうとしても、この地名は思い出せないのですが、すぐに降りないといけないと直感的に思いました。
そのやりとりが聞こえたのか、前の席に乗っていたあの老夫婦がこちらを振り返りました。
「あら、まだ顔色が悪いけど、大丈夫?」と聞かれました。
「降りる駅間違ってしまって」と私が言うと、「あらあら大変。その次は終電よ」と心配そうな顔をしてくれました。
紳士な老父は出口はあっちというように何も言わず指さしてくれたのです。
丁度そのとき、電車が次の駅に着くというアナウンスが流れました。
私は急いでその場を離れて出口に向かいました。
すっかり隣の相席した人のことを忘れかけていた私ですが、私が出口に向かった直後、相席だった人とすれ違いました。
彼は相変わらず、ぶつぶつ独り言を言いながら、元の席に戻っていきました。
電車から降りる直前に、車掌さんのような井出立ちの人に、「またのご利用お待ちしております」と頭を下げられ、私は不思議な気持ちで電車を降りたのです。
目覚めると、私は電車の中でした。「ああ、夢だったのか」と思いました。
どうやら電車の中で、眠りこけて夢を見ていたようなのです。
私はどこからどこまでが夢だったのか本気で混乱しました。
周りを見てみると、いつの間にか電車はいつも通り人で溢れており、私の横には不審な独り言を言う男性ではなく、サラリーマン風の男性が座っており、私の前の席には老夫婦ではなく、小さい子供連れのお母さんらしき人が乗っていました。
私はぼんやりしながら、どうやらすべて夢だったことを理解しました。
そして人身事故が起きたらしく、周りの人のざわざわした話から電車が足止めされていることを知りました。
どこから伝わったのか、周りで「自殺だって」とか「まだ若かったらしいよ」とか「男の子だって」とか声が聞こえてきました。
私はふと、夢で相席した独り言の若者が思い出されました。
あの人もまだ学生くらいの若い男性でした。
そして、何をするか分からない危うい雰囲気がありました。
そのときだったでしょうか。
隣のサラリーマン風の男性に話しかけられたのです。
「キミは、終電ギリギリで助かったね」と。
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