登山道の不気味な親子連れ
投稿者:足が太い (69)
通り過ぎてから、そっと後ろの様子を伺ったのですが、親子連れはこちらを振り向くことなくひたすら前を向いていました。
気にすると恐怖で体が震えて立っていられなくなるので、「気にしない、気にしてはいけない」と強く念じながら、急いで登山道を下っていったのです。
途中で不気味な親子連れがいたことを除けば、問題なく登山道の入口まで戻ってくることが出来ました。
青い顔をして入口に立ち尽くす私に、非常事態が起こったと思ったのか、登山道の管理スタッフらしき人が話しかけてきました。
スタッフ「どうしたんですか?熊でも出ました?怪我人でもいましたか?」
私「…いいえ、熊も怪我人もいなかったんですが、その…」
スタッフ「じゃあ何が…。…ああ、もしかして、狐狸の類が出ましたか」
私「知ってるんですか!?」
スタッフ「ええと、まぁ…。その、ねぇ?言うとお客さんが減っちゃうからあまり言えないんだけど…」
私「あの山に何があるんですか?教えてもらえませんか?」
スタッフ「…あー、まぁ、じゃあ言いますけど…」
どこの県にあるどんな名前の山かを誰にも言わないという条件の元、スタッフの方はやっと重い口を開きました。
スタッフの方が言うには、この山には昔から悪戯好きな狐狸の類がいて、たまに人に化けては登山客を化かして揶揄うことがあるのだそうです。
そういうこともあって最近は怖がって登山客も減ってしまった、とスタッフの方は嘆いていました。
命を脅かすようなことはしないので、スタッフの方も近所の神社の神主さんも見てみぬフリをしていたようですが、「そろそろお祓いでもしなければいけないかもしれませんねぇ。お祓いが利くのかは分かりませんけども」と、呟いていました。
そんなことがあって以来、私はあの山に近づいていません。
命を脅かすような化かしはなかったとしても、あまり深く関わらない方が良いと、勘が働いたからです。
最初は「登山客の幽霊か」と思いましたが、まさかその正体が狐狸だとは驚きです。
この2022年の現代で、私のように狐狸に化かされた人は珍しいでしょう。
もしも私と同じように狐狸に化かされた時は、眉に唾を塗りつければ、狐狸の悪戯も見抜けるかもしれないので、覚えておいて損はありません。
狐狸が出ると言い伝えがある場所に行くようなことがあれば、試してみてください。
シンプルに怖い
こういう時のためだけに普段は吸わないのに登山の時にはタバコを持っていく人がいるらしいですね