犬には見えていた何か
投稿者:りー (118)
短編
2022/03/11
09:53
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子供の時私の家では犬を飼っていました。
可愛い柴犬ですがお世辞にも賢いとは言えず世間で言うバカ犬でした。
その日も自分の尻尾を延々と追い掛け回し訪問した近所の人に喜んで迫って行き番犬とは程遠い様子でした。
学校帰りの私はしばらく一緒に遊び夕方の餌を用意する事にしました。
犬は餌が嬉しく犬小屋の周りで大はしゃぎでした。
餌を片手に戻って来ると先程とは打って変わり犬が門扉の所をジッと見つめていました。
誰か来たのかと思い目を向けても誰も居ません。
塀で隠れて分からないのかと思い近づいて見ようとしたら突然犬が大声で吠え出しました。
まるで「そっちに行くな」と言うように今までに無い吠え方でした。
私は怖くなって急いで犬の方まで戻り「どうしたの?そんなに吠えないで」と宥めましたが一向に収まりません。
私の方など一切見ず門扉だけを睨みつけ必死に威嚇していました。
しばらくするとようやく吠えるのを止め普段の状態に戻り呑気に「餌をくれ」を尻尾を振っています。
念のため門扉の所を隈なく確認しましたが誰も居ません。
あの時一体何が居たのでしょう。
きっと何か恐ろしいものが居て犬は必死に私を守って追っ払ってくれたのだと思います。
立派な番犬としての働きにその日は特別にデザートに犬用のビスケットも食べさせてあげました。
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いい番犬ですね。