お饅頭を食べて供養
投稿者:りー (118)
短編
2022/03/10
11:47
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私の祖母が亡くなった後の不思議な話です。
悲しみを癒す為に私が手を伸ばしたのはお饅頭。
私自身甘いものは好きでしたが洋菓子派で和菓子はほとんど食べた事がありません。
食べても古めかしいダサいお菓子と言った感じでバカにしていました。
しかし、その時ばかりはそのような気持ちが一切浮かんでこず自然に口にしたのです。
優しい餡子の味が暗く沈んだ心を包み込み本当に美味しく感じました。
しばらくの間おやつにお饅頭を食べる生活が続き何故自分はこれを食べているのか疑問に思いました。
そこで思い出したのがお饅頭は祖母の大好物だったと言う事。
いつも旅行のお土産にはお饅頭を渡し非常に喜んでいました。
今こうしてお饅頭を食べているのは祖母が食べたがっているからかもしれない。
そう思い至った私はお仏壇にお饅頭をお供えしました。
徐々にお饅頭を食べる頻度が減って行き半年ほど経った時には以前の私の様に洋菓子ばかり食べる様になっていました。
きっと私が沢山お饅頭を食べたから満足して成仏したのだと思います。
今でもお饅頭をお供えし手を合わせています。
安らかに居る事を願いつつお饅頭生活で体重が増えてしまった恨み言も伝えました。
きっと呑気な祖母の事ですから「ごめん、ごめん」と言いながら今日もあの世でお饅頭を食べている事でしょう。
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