不思議の国のアリス症候群
投稿者:アマリリス (3)
「なんだよあれ、やべえって!」
Cが半ば半狂乱で動揺を声にするが、Dが肩を掴んで落ち着かせる。
「とりあえずトンネルに戻ろう。あいつらに見つかったら何されるかわかったもんじゃないし」
Dの意見に同意するA子は高速で頷いた。
私は何気なしに集落のほうへ視線を向けた。
「ちょ……!」
咄嗟に横へ手をバタつかせ、たまたま気づいたDが「なに?」と顔を寄せる。
「に、逃げ」
私の視線の先に目を向けるD。
そう、先程村人が通りすぎた路上を辿った遥か遠く、集落の方から村人が一人走ってくるのが見える。
私達は彼等が過ぎ去った後に、安堵のあまり緊張が解け立ち上がっていた。
草木の中に潜んでいるというに、僅かな色彩の違いを村人は見破ったという事実に私達は野生の虎と対峙したような危機感を覚えた。
安堵、そんな気の緩みが村人に見つかる原因となったわたけだが、幸い距離はある。
Dはすぐに私の手を握り、更にはCの肩を叩き、A子の背も押す。
「走れ!」
この一言が事態の深刻さを伝える最善手だったのか、瞬時に理解したA子とCはすぐに森の中へと走り出した。
先頭をA子、後ろにDが私の手を引っ張り、Dに並走するようにCがいる。
倒木や小枝、砂利に落ち葉などで足場は最悪で、露出した腕や脹ら脛なんかは切傷がいくつもついたはすだ。
先ず目指すはトンネル。
あそこに戻り、例の空洞から戻れる算段がないか探らなくては。
しかし、村人の足は犬のように早い。
徐々に距離が縮まる緊迫の最中、私は思わず後ろを振り向いた。
『ーーーーーーー!』
何を言っているのかわからない村人の怒声。
手に持つ槍を掲げ障害物を難なく飛び越える姿はまさしくチーター。
宛ら私達は捕食される側の野うさぎといったところか。
呑気な考えに思考を割いていると、村人は槍投げの要領で投擲を始め、完璧な投球フォームから繰り出された一投は私の頬を掠め、Dの肩口を切り裂き、進行方向にある大木に突き刺さる。
「いっ……!?」
「D!」
Dからしたら突然の痛みで足がもつれる。
Cが駆け寄り肩を貸し、無理矢理にでも引っ張り起こす。
ファンタジー読んでるみたいで面白かったです
読み応えがありましたが、本当に不思議な話ですね。
なんか・・・・
こわ・・