不思議の国のアリス症候群
投稿者:アマリリス (3)
A子とCはかなりポジティブな性格のようだ。
草木を抜け、漸く道らしき道へと躍り出ると、その畦道のような大地の延長上に複数の村人が歩いているのを見つけた。
ようやく村人との御対面だ。
しかし、Dが私の腕を引っ張り、珍しく声を上げた。
いや、声を殺して静かに声を上げた。
「一旦隠れよう、早く!おまえらも!」
A子とCは怪訝な表情を浮かべていたが、普段主体性のないDが必死な剣幕をしたいたことから素直に従い、四人で草木に隠れる。
「どうしたんだよ」
「いいから、息殺して、バレるなよ」
私は不安そうに見上げるA子の手を握り、Dの指示通りに息を殺す。
暫くすると太鼓の音が近くなり、濁流の只中にあてられたように体が震える。
草木の隙間から道を見れば、複数の村人が大名行列のように連なり行進しているのが見えた。
その先頭、太鼓を叩く集団の格好を見て私は驚愕する。
藁や葉グズから作ったと思われるスカートのような腰当てにトンネルで見た石像瓜二つの仮面。
着飾るものはその二点だけであり他は裸で素足なのだな、地肌に刺青のような赤い模様をそれぞれ斑点のようにして塗りたくっている。
そんな文明とは不釣り合いな現代的な小太鼓を抱えた先頭の集団の後ろには、石造りの槍を天へ捧げるように突き上げた、まるで戦士のような集団。
その集団の行列を茫然自失と眺めていると気が付けば行進は眼前に差し掛かり、けたたましい太鼓の音が心臓を押し潰すほどだった。
しかし、私達の恐怖心を煽るように更なる衝撃的な光景が広がる。
槍を持つ集団に挟まれるように、荷運びする集団があり、竹か何かを竿にし村人同士が担いでいるのは、紛れもない人間だった。
まるで鹿や猪が手足を括られ運搬されるように、私達の目の前で生きた人間が手足を括られ運ばれている。
「や、やめろ!た、たすけ!」
「たのむ!誰にも言わないから!」
そして、何が恐ろしいかと言えば、その人間の格好が私達同様現代的な洋服を着た、恐らくキャンプに来ていたであろう人なのだ。
キャンプ客といっても、今日は私達以外誰も利用者はいなかったので別のキャンプ場の人なのかもしれない。
その人達は三人組の若い男性だったが、何れも手足を括られ動物のように運ばれており、随分と暴力を受けたのか切り傷や赤黒いシミが身体中にできている。
彼らが騒がしくしていると横で歩いていた村人の一人が槍で男の肩を突き刺す。
「ギャああああ!」
大の男か大声をあげ泣きわめき、肩から出血している。
そして、その行列は次第に音を置き去りにし、集落の方へと姿を消していった。
私は太鼓の余韻が離れる前に口許から手を離しどっと息を吐き出し深呼吸する。
他の三人も似たように息を切らせており、先程見た荒唐無稽な光景を処理仕切れていない様子。
ファンタジー読んでるみたいで面白かったです
読み応えがありましたが、本当に不思議な話ですね。
なんか・・・・
こわ・・