スナッフフィルムの金額
投稿者:凍 (8)
短編
2022/03/06
00:44
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俺には浪費家の友人がいます。
IT企業を経営する金持ちの家に生まれた彼は、両親に甘やかされて何不自由なく育ち、まるで苦労を知らず成人しました。
大学時代も親の金で豪遊し、取り巻きを引き連れて店から店へ飲み歩いていたそうです。
そんな生活が長続きするはずもなく、カードローン地獄に陥って追い詰められます。
さらにはギャンブルにハマって多額の借金を作り、遂には両親に見放されました。
しかし骨の髄まで贅沢を知った人間の更生は容易でなく、世間知らずなボンボンときてバイトもすぐ辞めてしまいます。
ある日久しぶりに友人からメールがきました。ネットで高額報酬のおいしいバイトを見付けたというのです。
「どんなバイト?」
「なんかビデオ撮るんだって。1本100万とかすげーだろ」
胡散臭いと睨んで警戒を促したものの、友人は真面目に取り合わずバイトに出かけていきました。
数日後、友人は惨たらしい死体となって発見されました。臓器の大半が抜き去られていたそうです。
葬式の日、俺が受付で記帳していると隣に黒スーツの男性が現れ、遺族に分厚い香典を渡しました。
「100万円、確かにお支払いしました」
えっ、と思って顔を上げると既に男は去っていました。
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