左から読むな
投稿者:繭 (42)
短編
2022/02/28
23:59
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私と絵里子は親友です。小学校中学校とずっと一緒で何でも話し合える仲でした。
絵里子は明るく活発、私は地味で大人しく休み時間はもっぱら本を読んでいるタイプです。だからこそ上手くいったのかもしれません。
先月、同じクラスの片山くんに告白されました。
絵里子が片山くんに片想いしてる事は知ってたし、しばしば恋愛相談に乗ってあげていたので本当に驚きました。絵里子には言えませんでしたが、私もほんのちょっとだけ片山くんにときめいていたのです。
どうしようか迷ったものの、結局オーケーしました。黙っていればバレないと高を括ったのです。
しかし付き合い始めて一週間二週間と過ぎてくうちに罪悪感が募り行き、一か月目の今日絵里子をうちに呼んで全部話す決断を下しました。
「よし」
トイレで覚悟を決めて部屋に戻ると、絵里子が本棚の本をいじっていました。
「相変わらずすごいねー、また増えたんじゃない」
「絵里子聞いて。実は私、片山君と付き合ってるの」
「知ってた」
「え?」
絵里子はにっこり微笑みました。
「話してくれるの待ってたの」
親友の祝福に感激し、涙ぐんだ目で瞬いて視線を移し……絵里子の肩越しに見えた、本の背表紙にぎょっとしました。
今しがた絵里子が並べ替えた本の背表紙の頭文字を左から繋げて読むとこうなります。
「早 く 死 ね」
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これは良い怪談