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ヒトコワ

レイレサさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ひとりぼっち太郎
短編 2022/02/17 22:33 4,588view

私の親戚Aさんが小学生の頃につけられた、とても嫌なあだ名について語ろうと思う。

Aさんは公開に関して多少迷っていたみたいだが、昔ほど気にしているわけでもないらしい。

過去の嫌な思い出を隠すよりは晒してしまった方が気が楽になるかもしれないと思ったことで、投稿することを快諾してくれた。

あれは、Aさんが小学生の頃だったので30年以上前だったと思う。

幼少期に親の仕事の都合でド田舎に引っ越してきたAさんは地域の遊びや風習には疎かった。

そのせいで昔から伝わっていた遊びや土地のルールのことは全然分からなかった。

教えられてもなかなか覚えることが出来なかったそうだ。

最初は遊びのことを色々教えてくれた子供達もみんなが嫌がる鬼の役をAさんに押し付けることが増えていった。

どうやって遊べばいいのか分からずにポツンとしていたことで、そのうち遊びに誘われなくなってしまった。

それどころか、「あいつはどんくさいから一緒に遊ぶと移るぞ!」と陰口を叩かれてしまうほどひどい状況になってしまった。

同級生から仲間外れにされてしまった姿を可哀想だと感じていた上級生も居たようだが、自分も巻き込まれたくないと思って知らないふりをする人達も多かった。

いつの間にかAさんは上級生や同級生から無視されるようになった。

孤立してしまったものの、近所の下級生達はAさんを可哀想だと思って一緒に遊んでくれた。

幸いなことに、下級生達は優しい子が多かったことでAさんは少しは救われたようだ。

下級生とばかり遊ぶようになったAさんのことを同級生達はよく思わなかった。

ある日、学校に登校したAさんは同級生の男子数名に囲まれてしまった。

男子達はニヤニヤしながらAさんをからかい始めた。

「ひとり、ひとり、ひとり、ひとり、ひとりぼっち太郎~♪」

囲まれているために逃げることも出来ない。

Aさんは同級生の女子に視線で助けを求めたのだが、目を背けて知らないふりをする子、遠くからニヤニヤしながら眺めてくる子ばかりだった。

誰も助けてくれないと思うとAさんはとても悲しい気持ちになった。

女の子なのに太郎というあだ名をつけられてしまったことで嫌な気持ちになったのだが、男子数名が女子1人に対して嫌がらせをやってきたのだから、低レベルにもほどがある。

「ひとり、ひとり、ひとり、ひとり、ひとりぼっち太郎~♪」

毎日のようにひとりぼっち太郎というあだ名と嫌がらせの歌を大合唱されてしまった。

こんな嫌な歌を毎日聞かされたらさすがに参ってしまう。

Aさんの心は段々弱っていった。

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