ひとりぼっち太郎
投稿者:レイレサ (64)
担任の先生はAさんが嫌がらせを受けているのを知っていたが、見て見ぬふりをしていた。
面倒なことには巻き込まれたくなかったのだろう。
Aさんいじめはしばらく続いた。
そのうち小学校を卒業し、中学校へ進学した。
クラス分けの情報を聞いてAさんは絶望した。
かつてAさんを取り囲んで「ひとり、ひとり、ひとり、ひとり、ひとりぼっち太郎~♪」と嫌がらせをしてきた男子数名のうちの2名が同じクラスになってしまったのだ。
案の定、中学校でもAさんは同級生から嫌がらせを受けてしまった。
「ひとり、ひとり、ひとり、ひとり、ひとりぼっち太郎~♪」
酷い時にはクラスの半分くらいの同級生が大合唱でAさんの悪口を言うのだ。
仲良くしてくれた同級生も徐々に離れていって、Aさんはまたしてもひとりぼっちになってしまった。
そのせいで余計「ひとり、ひとり、ひとり、ひとり、ひとりぼっち太郎~♪」というあだ名と大合唱は加速していった。
Aさんは次第に学校へ行くのが嫌になった。
仮病を使って休んだことも数回あったらしい。
ある日、A父がある悪い噂を耳にすることとなる。
どうやら、Aさんが通っている学校でいじめがあるらしい・・・というもの。
A父は嫌な予感がした。
悪い噂を教えてくれた人の態度も少しおかしかったそうだ。
こちらの顔色を伺いつつ「Aちゃんは大丈夫・・・ですよね?」みたいな言い方をしてきたからだ。
A父は帰宅後にAさんを問い詰めたそうだ。
最初は渋っていたAさんもとうとういじめられていたことを告白したのだった。
A父は頭が真っ白になってしまった。
まさか自分の娘がいじめられていたなんて・・・。
すぐさま中学校の教頭先生に電話で相談をしたそうだ。
担任の先生に相談してももみ消しされたら・・・という考えが頭をよぎったらしい。
Aさんがいじめられていたことを知った教頭先生は顔を真っ赤にしてカンカンに怒り、すぐに担任の先生に事情を聞きに行ったそうだ。
担任の先生は「様子がおかしいのは知っていたんですが、Aさんが何も言ってこなかった」と言い訳していたらしいが、とても見苦しい話である。
それからは「ひとり、ひとり、ひとり、ひとり、ひとりぼっち太郎~♪」とクラスで大合唱されることはなくなった。
それでもたまにAさんのことを「太郎」とボソっという子はいたらしい。
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