音大生のアパート
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
短編
2021/01/09
02:33
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それからというもの、歌番組を見たり音楽を聴いたりすると、決まって歌声が聞こえるようになった。
さすがにこれはおかしいと思い、不動産屋に行ってCさんに詳しく話を聞いた。
「あの部屋って、何か様子がおかしいですよね。」
俺は強い口調で問いただすと、Cさんは重い口を開いた。
「しゅいません、実は…」
要約すると、ある音大生が病気でその部屋で亡くなったという事だった。
自分の歌を大勢のお客さんや、誰かに聴いてもらいたいという思いをかなえられないまま亡くなったらしい。
音楽を流すと歌声が聞こえるというのは、その思いが部屋に残っているからではないか、という事だった。
俺は後になって「瑕疵物件」という言葉とその意味を知ったのだが、「かしゅ物件」と言っていたCさんの言葉は、確かに嘘ではなかった。
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病気で亡くなったのに瑕疵物件になるんですかね?
これは「心理的瑕疵物件」と言った方がいいのかもしれません。
「心理的瑕疵物件」の定義は様々ですが、基本的に「その部屋で誰かが亡くなった物件」で、その理由は殺人、自殺、病死、孤独死などとされ、病死の場合でも心理的瑕疵物件と言ってもいいと思います。
単に「瑕疵物件」というと、欠陥住宅も含むので、不動産の取引用語としては少し意味合いが違うのかもしれません。
っていうか、この話は「怪談風のダジャレ」ですから。
作者より
Gさんの設定が全く意味不明。
舌足らずでなくても「カシ物件」の発音は一緒。
上コメント続き
って、ああそうか。shuにかけてたんですね…すみません!
コメントありがとうございます。
せっかくなんで、少し説明させていただきます。
早い話、幽霊がいるかもしれないという(心理的)「瑕疵」物件と、そこに歌手が住んでいた「歌手」物件をかけているというだけです。
「かし」と「かしゅ」をわざと聞き取りにくくしたかったので、Cさんは「舌足らず」ではなく「さ行の発音が怪しい」としてみました。
「舌足らず」だと、他の発音も聞き取りにくい場合がありますから。
それともう一つ、「歌手志望」と「歌手死亡」もかかっています。わかりにくいですね。
作者より
そんな営業マンを、どうして「きっと優秀」などと?