アパートに現れる無数の人の目
投稿者:ジュリー (62)
私が大学生の時住んでいた部屋は、雰囲気が妙に悪かったです。
日当たりは悪くないのですが、何処となく薄暗いような雰囲気。
いつもジメジメしていて、なんとなく気分が沈むような。
当時は建物が安普請だからかと思っていました。
同じ敷地内に住んでいる大家さんの息子さんは、心を酷く病んでいる人でした。
極度の妄想癖と病的な躁状態。
彼は私が入居してから半年後に精神病院に入院しました。
1年後退院された時には見違えるほど回復しており、優しく誠実な物腰になって、15歳は若返っていました。
他人事ながら、良かったなあと思っていました。
ところが、恐ろしいことにたった2日ほどで元の状態に戻ってしまったのです。
薬が切れたから?と考えたのですが、それにしても酷い変わりようだったのを覚えています。
私も早く引っ越せば良かったのですが、入居している時は何故かそこを離れてはいけない理由を色々思いついて、なかなか転居することができなかったです。
2年目を迎えた辺りから私の部屋の洗面台の鏡に人の目のようなものが見えるようになりました。
精神科を受診したのですが、鬱病と幻覚だと診断され、原因については不明でした。
やがて日が経つにつれて、ふすま、床、テレビ、ベッド下等々。
人の目が増えに増え、常に誰かに見張られている状態が続きました。
幻覚だとは思えないぐらい生々しいその目に怯え、友人の家に泊まることが増えました。
しかし、友人の家では不思議なぐらいその目は見えない。
結局、2年半そこに住み続けましたが、引っ越して何年も経った今では人の目は見えません。
大家さんの息子さんは単なる病気ではなかったと思っています。
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