(「またこの人か・・・。」)
私はそう思いながらながらも冷静に「はい」と応答しました。
「あのう、新聞の契約に来たんですけど」
男はそう言うと帽子のツバを少し深く被り直しました。
「大丈夫なので結構です。」
今度はやや強めにそう言って私はモニター画面を切りました。
結構しつこい勧誘もあるんだなと思い、私の親もこういう対応をきっとしていたんだなとなんとなく感心していました。
そして、さらに1週間後。
私は少し恐怖を感じる出来事を体感します。
その日は特に疲れた金曜日でした。
今日は疲れていたので帰ってからシャワーを浴びず、帰り際に買ってきた缶ビールを飲みました。
冷たいうちに飲みたかったので、シャワーを浴びるのを後回しにしていました。
ビールを飲みながら適当にテレビをつけていると再びインターホンが鳴りました。
(ピンポーン)
え、またあの人じゃないよな?
そう思いながら玄関のモニターを覗いてみると例の人がそこにはいました。
(「はぁ、またあの人だ。この前きちんと断ったのにまた来てるよ、今日は疲れたし出なくていいかな。」
そう思い、居留守を使うことにしました。
しばらくしてビールも飲み干し、シャワーも浴びた後夜ご飯も食べて少し落ち着いた頃です。
突然、玄関の方から「コン」と音がしました。
少し気になったので玄関の覗き穴を見てみると、そこには先程訪れてきた男が玄関のドアに向かって帽子のツバを当てていました。
「!!!!」
私は驚いて声が出そうになりましたが、なんとか堪えて静かにその場から離れました。
(「なんでいるの・・・。」)
少し怖い気持ちになりましたが、その疑問が真っ先に頭の中でありました。
あれから1時間以上は経っているし、ずっとそこにいたとしたら怖いと思いましたが、それ以上何もできることがなかったので鍵もかけてあるし一旦忘れて寝よう、そう決めると布団に入ってその日は寝ました。
次の日、私は平日出勤だった為翌日の土曜日は休日でした。なので寝坊し、起きたのは昼過ぎくらいになっていました。
特にその日は予定がなかったですが、ご飯を作るために買い物に出かけようとしていました。
私は昨日のことを即思い出し、今はいないよな、と思いながら玄関を確認すると男はいなくなっていました。
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