豪雪地帯の田舎で雪の日に訪れた足音
投稿者:ナナシー (36)
お正月なので冬にちなんだ話を投稿したいと思います。
豪雪地帯の田舎に、社会科見学という内容で、私と弟と2人きりで古民家食堂に一泊することになりました。
食堂は、お婆ちゃんがひとりで切り盛りしていて、田舎料理を提供していました。
私と弟も、田舎料理を盛り付けたり、お客さんに配膳したりお手伝いをしました。
お客さんといっても、雪の降る時期だからなかなか足が運べないようで、私たちが社会科見学で一泊したときには2人だけしかお客さんが来ませんでした。
「お婆ちゃん、儲けないね」って、小さい私たちはそんな笑い話をしながら夕方まで食堂で働いていました。
夕方、食堂を閉めて、お風呂に入りました。
食堂でお婆ちゃんが作ったお手製の田舎料理が夕食として提供されました。
お婆ちゃんが私と弟の寝室を作ってくれていて、そこで眠りにつくことになりました。
お婆ちゃんが一緒に寝ようか?と心配そうな顔をしていたけれど、初めて知らない所でお泊りができるんだからと、2人で平気だと言いました。
するとお婆ちゃんが「いいかい、この襖を開けてはならないからね」って私たちに言ってきたのです。
その襖は、真ん中にガラスがはめ込まれたデザインの襖でした。
外の景色が見えるつくりで、廊下からさらに外の大きな窓までしっかり見える襖戸が設置されていました。
「どうして?」って聞いたのですが、「いいから、約束して頂戴、絶対に開けたらいけないよ」っと指切りげんまんされました。
その日は、疲れてしまいいつの間にか眠りについていました。
パッと目が覚め、時計を見ると夜中2時すぎでした。
そのとき、外から突然音が聞こえてきたんです。
ザクッザクッと、雪を踏む音が外から聞こえるんです。
誰か外に居ると思って、襖の方へ目を向けたら、そこに足が見えたんです。
茶色のズボンがしっかり見えていて、私は、「誰?」と叫びました。
弟も目が覚めたみたいで、恐怖で震えていました。
いったい誰が居るのか、気になったから襖を開けようとしたのですが、お婆ちゃんが言った言葉を思い出しました。
襖を開けてはならないと言われたので、布団に潜り込みました。
ザクッザクッとした雪を踏む足音が外から家の中に入ってきて、私たちの足元まで近づいていました。
私も弟も恐くて、布団をかぶったまま、「お婆ちゃん、お婆ちゃん」って叫ぶしかできませんでした。
すぐに灯りがつき、お婆ちゃんが「大丈夫かい?」と抱きしめてくれました。
経緯を話すと、「もうここには来たらダメだよ」って頭を撫でて、それ以上は語ってくれませんでした。
ただ、足元の畳には濡れた足跡がしっかり残されていました。
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