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心霊

はいからさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

鈍感が故に気が付かなかったもの
短編 2021/12/25 15:57 1,027view

私自身は霊を見たり感じたりしたことはありませんが、周りで怖いことがなぜかよく起ります。その中のひとつを。

ある夏の夜、その日は男友達とドライブがてら、彼の恋の悩み相談を受けていました。
そして山の近くの展望台に車を止め、窓を開けて話していたと記憶しています。
尽きることのない彼の悩ましい悩みに適当に相槌を打っていると突然彼の表情が強張り、緊張した面持ちになっているではありませんか。

“ヤバイ、適当に返事してるのバレて怒ったのかも”と思い愛想笑いでフォローしようとしたのですが、どうやら彼は私ではなく私の向う側、開いている窓の向こうを凝視しています。
そして開いていた窓を慌てて閉め、無言でいきなり車を発進させました。

車を走らせてもなにもしゃべらないのでどうしたのか尋ねると、「お前はなにも気づかなかったのか」と。気づかないどころかこっちはさっぱり状況が分かりません。

しばらく車を走らせ遠くに来た後で彼が言うには、「窓の向こうに何人か来てた」「窓から入ろうとしてきた」「お前に手を伸ばしていた」とのこと。
姿形は普通の人のようだったからそれほど悪い霊ではないようだったので気づかないフリをしようと思っていたが(ちなみに彼はいわゆる“見える人”らしい)、手を伸ばしてきたのでヤバイと思い、慌てて窓を閉めて車を走らせたらしいです。

「お前はかなり鈍感なので気をつけるように」と釘を刺されましたが、気をつけようがないですよね。
こういう話をすると実は彼は私が目的で、おびえさせて口説こうとしたんじゃないのとよく言われますが、そういうことはまったくなく、後日彼は無事意中の人と結婚しました。

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