叔父さんが二人
投稿者:はいから (3)
私が中学生の頃、家の車庫に父方の叔父さんが住んでました。
叔父さんは、みんなから慕われるキャラクターではありましたが定職に就かず、その日暮らしでチャランポランと周りからは呼ばれていました。
私は中学生で反抗期真っただ中ではありましたが、叔父さんは当時28歳とかっこいいお兄さんに見えて唯一心を許す存在でもありました。
親と喧嘩した日などは夜中によくドライブに連れて行ってくれたりしました。
ですが、そんな叔父さんでしたがある日から笑わなくなってしまいました。
お母さんに話を聞くと、彼女さんが病気になったそうです。
私も、叔父さんの彼女さんとは仲良くしていたのでとてもショックでした。
叔父さんは看病のために毎日お見舞いに行っていて話す機会も減っていきました。
ですが、彼女さんは半年後亡くなってしまったのです。
実は、結婚を約束していたそうで叔父さんはとても悲しみました。
筋肉質で体格もいい叔父さんは日に日に痩せていきみんなが心配していました。
彼女さんが亡くなって3か月経った頃には叔父さんも少しずつ元気になって体つきも戻ったころでした。
ある晴れた朝、学校が休みだったのですがなぜか早く起きたんです。
時刻は7時、朝ご飯を作るお母さんや部活の朝練のために早く起きる兄、テレビでニュースを見てる父がいるはずなのに誰も起きていません。鳥の鳴き声や車の音もきこえませんでした。
不思議に思いベランダから外を見ようとベランダにいきました。すると、そこには叔父さんがいました。
人を見つけて安心した私は、おはようと言い叔父さんに近づきました。
でも、叔父さんは挨拶も返してくれないどころかこっちを見てもくれませんでした。
すこし異様な雰囲気だったので、先にした行ってるねと伝えて1階に行きまいた。
キッチンで水でも飲もうと思いキッチンに向かうと、叔父さんがいたのです。どう考えてもありえませんでした。
ベランダからキッチンに通じる道は1つ。その道を私が先に行ったからです。どこにも寄り道はしていません。
また、よくよく考えたらベランダに叔父さんがいること自体ありえないのです。
車庫を入れて3階建ての我が家は、2階は私たち家族の寝室で1階はキッチンや風呂などがある場所で、叔父さんは今まで2階に上がることは一度もありませんでした。
怖い気持ちがありながら叔父さんに「今、ベランダにいた?」と聞いてみるも、いつもの叔父さんのように笑顔で「今起きたばっかだよ。ベランダなんか行ってないけど?」と言われてしまいました。
そして、時がたってこの事を叔父さんに話すと叔父さんは「実はあの時、本当に辛くてこの世から消えてしまおうと思ってた」と言われあの時ベランダにいたのは叔父さんの負の感情が具現化した何かだと今は自分を言い聞かせています。
生霊かドッペルゲンガーか