自分にしか見えない誰かの足
投稿者:ジュリー (62)
短編
2021/11/28
17:57
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私は住宅街からかなり離れた山奥に住んでおり、自宅の隣には祖父母の家があります。
ある日、夜7時くらいに祖父母の家に1人で留守番をしており、忘れ物を取りに自宅に行こうとしたら玄関の自動ライトがぱっと光り、灰色のズボンの足が見えました。
父さんかなと思いながら自宅に行き、「さっき来た?」と言うと両親は口を揃えて「行ってない。」と言いました。
私はその時の状況を説明し、両親は信じていない様子でしたが、父さんは一応祖父母の家周辺を見回ってきてくれました。
誰もいなかったようですが、すごく怖い思いをしました。
玄関先から、確かに去っていく人を見ました。はっきりと覚えています。
もしそれが幽霊でも怖いですが、生身の人間でもかなり怖いです。
家があるのは山で、この時間帯には知らない人がいるのもおかしいことです。
近所に家は一軒だけありますが、無言で人の庭に入ってくるような人はいません。
何より、祖父母の家は自宅よりも奥にあるので、用があるなら手前にある自宅の前をまず通るはずです。
いつもは私たちが家にいる間、祖父母がいつでも行き来できるよう、自宅の鍵を閉めていないのですが、母がこの日は不気味に感じたのか、「今日は閉めとくね。」と一応声をかけてくれました。
怖い話をよく見聞きはしていましたが、他人事だと思って信じていませんでした。
実際に自分が見て、それを周囲に理解されないことがこんなにも怖いことだとは思いもしませんでした。
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