廃病院の赤い電話
投稿者:キョンシーズ (11)
これは私がとある廃病院を解体する現場に入っていた時に体験した話です。
私は構造物の解体をする会社に勤めています。
ビルやマンション、一軒家や橋など様々な構造物を解体する仕事なのですが、
ある日地元で心霊スポットとして大いに有名なとある廃病院の解体を請け負う事が決定しました。
社員一同口を揃えて「絶対入りたくない。」「なんでそんな現場を取ったんだ。」と大ブーイングが巻き起こる中、私が現場の職長に任命され10人程の作業員を引き連れて数日後から現場に乗り込む事になりました。
そして迎えた当日。
現場に向かう車内は心霊スポットの解体というだけあって
これから肝試しにでも行くような雰囲気でした。
若い作業員は
「俺二カ月位前にここ肝試ししに行きましたよ。心霊写真撮れたしマジでやべぇっすよ。」
と言うなど車内はこれから向かう現場で起きた心霊現象の話しで持ちきりに。
”女の幽霊が歩き回ってる”、”窓からものすごい数の幽霊が覗いてくる”、”繋がっていないはずのナースステーションの電話が鳴り、出ると死ぬ”等など、根も葉もない噂も多く枚挙に暇がありませんでした。
そうこうしているうちに現場に到着し、
新規入場者教育、ラジオ体操、朝礼、KY活動を経ていよいよ心霊スポットの中に乗り込みます。
すると現場監督が我々の所にやってきて「忘れてた。」
と言いながら1人1人に清めの塩を振ってきました。
「現場自体はお祓いしてるから大丈夫。でも一応念のため。ね?」
と言って監督は笑っていましたが、我々は全く笑えませんでした。
塩を振られた事で何となく皆のテンションが下がりつつも、
気持ちを切り替えて作業に取り掛かりました。
手始めに病院内の全ての蛍光灯を外したり、残置物を撤去する作業を手分けしてする事に。
何となく1人にするのは危険だと判断したので二人一組での作業を皆に指示して、
私も最年少の作業員を連れて作業に取り掛かりました。
怖がる作業員を必死に慰めながら淡々と残置物の撤去作業をこなしていると、
二階のナースステーションの中でポツンと不自然に残された赤い電話を発見しました。
(これが噂の電話か?)と思いながらも残置物が大量に入った箱台車に放り投げてその電話も撤去しました。
そしてそのまま何事も無く作業は進み、無事に終業の時間を迎えました。
(心霊スポットって言ったって他の現場と何も変わんねぇな。)
とホッとしながら帰路に着きました。
家に着き、一日の疲れを酒で流し込み布団の中に入りました。
ほろ酔い気分で気持ちよくなり、ウトウトしているといきなり
「ピリリリリリッ!!」
と聞き覚えのない電話の音のような音がどこからともなく聞こえてきました。
私も行ったことがある
A病院かな?