未練を残していた若いご遺体
投稿者:千心 (17)
病院で勤務していた時の話です。
急変や入院などが多い病棟で勤務していましたが、その私の夜勤でも緊急入院がありました。それは急性アルコール中毒の若い患者さん。
もう病院に来たときには、心肺停止しており、とても蘇生は難しい状態でした。私は死亡確認がされると、エンジェルケアを行います。その患者さんは、顔には傷一つないし、若いゆえにケアは何も必要ないくらいの方でした。そしてすべての処置が終了すると今度は霊安室にご遺体を運びました。
霊安室はどこの病院でもあまり人目につかない所にありますね。当院でも地下にありました。そこに看護師二人でストレッチャーで運んだのです。
霊安室まではエレベーターでいきましたが、帰りは階段を使用しました。なぜならなるべく職員は階段を使用するように言われていたから。その時不思議な出来事が起こりました。
なんと階段を上がっているときに、地下からうなり声が聞こえたのです。私は当然びっくりして同僚を見ました。同僚にもその声が聞こえたようでお互いに恐怖で沈黙…。足がすくんで歩くこともできませんでした。しかし万が一、死亡確認された患者が生きていたら大問題です。そのため、確認にいかなくてはいけません。
私と同僚は意を決して確認に向かいました。そして扉を開いたのです。そこには先ほどのままで横たわっているご遺体がありました。私たちはほっとしましたが、逆にさっきのうなり声は何だろうと恐怖におびえました。そしてそそくさと地下を後にしたのです。
その後、そのうなり声が何だったか、今でもわかりません。しかしやはり何か若いご遺体がまだ未練を残していたとしか思えません。
病院って色々ありますからね