母が残した御守りの力
投稿者:FBS (19)
ある友人の夫婦がいる。
もともと旦那が仲間であり、それから奥さんとも交友するようになった。
その夫婦は旅行が大好きで全国の色んな所へ車で運転して寝泊りして帰ってくるのが趣味なのだ。
自分たちの住む県外に行った時のこと、その日は民宿やホテルなど利用することなく車中泊を考えていたそうだ。
ちょうど天候が悪く日中雨がずっと続き思ったより旅行を満喫できず車で移動がほとんど日だったそうな。
夕方から更に雨が強くなりさすがに日中の運転の疲れもあって、地元のスーパーで買い物をして、わりかし近くにある学校跡地であり、現在野外公園となっている駐車場で車中泊を決めた。
雨が強くなったこともあり、できるだけ水場や野外トイレが近い駐車スペースに停めた。
車の中で簡単な電気調理器具を使い食材を温め食べたそうだ。
雨は一向に止むことがなく自分達以外誰もいない。
適度にそこそこお酒を飲んで眠りに入ろうかという時だった。
奥さんが不意に尿意を催しトイレに行きたくなったのだ。
旦那は車のすぐ近くで用をたしてしまっていた。
しょうがなく奥さんはライトを持って野外のトイレへ寝る前に済まそうと向かった。
元々、夫婦共にキャンプや旅行が好きなのでやや恐怖心もあるが慣れてもいた。
しかし、野外トイレで用を足し蛇口で手を洗っているとき、目の前の鏡に後ろから立って睨んでいる人がいる。
一瞬悲鳴を上げそうになるが硬直して喉から声が出ない。
その時、ポケットに入っていた母の形見の御守りの鈴が不意にチリーンと鳴ると共に鏡で立ち尽くす姿が一瞬で消えた。
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