団地の影
投稿者:FBS (19)
短編
2022/06/13
21:52
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とある田舎にある平屋の町営団地。外装は色あせ、近くの小中学校に通う生徒からは「不気味」だと気味悪がられていた。
そんな町営団地にまつわるオカルト話のようなものが、とある誰かのSNSの投稿をきっかけに広まった。
「○○町の団地、4号目の真ん中の部屋、午後8時くらい、窓からおじさんがずっちこちらを見ている。」
小さな田舎街だ、噂が広まるのは早い。
このSNSへの投稿をきっかけに学生たちの間で噂の的となった団地の4号目、午後8時くらいに訪れるという肝試し的なものが流行った。
4号目、真ん中の部屋は、玄関周り、庭の手入れは生き通っておらず、誰が見ても「空き部屋」という状態。そんな常態の部屋に対して広まった謎の投稿は「心霊」要素を強め、よりオカルトさを増していった。
投稿から半年ほどが経った頃、SNSで問題の投稿をしたアカウントから新たな投稿があった。
「○○町の団地、4号目の真ん中の部屋、午後8時くらい、窓からおじさんがずっちこちらを見ている。」
投稿内容は前と全く同じだが、今回の投稿には写真がついている。
薄暗い道と人影が写る写真。微かな街灯の光などで照らされただけでその人影の顔は不鮮明。しかし、確かにこちらに顔を向けているのは分かる。
そしてその写真は、部屋の中から撮影されたものだった。
その投稿から5日後、4合目の真ん中の部屋から女性の遺体が発見され、その町にすむ中年の男性が逮捕された。
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