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心霊

FBSさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

年代物の旅館が安い理由…
短編 2021/10/14 17:29 1,709view
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これは会社の先輩が体験した時の話である。

その先輩は大のバイク好きで大酒飲みである。
バイクに乗ることと美味いものを食べ酒を飲みつくす事が人生の喜びである。
仲間とバイクでツーリングで行くこともあればソロで出かける事もしょっちゅう。

ある夏に不意に思いつきで単独ツーリングに出かけ県外の山へ向かった。
ゆとりを持ってゆっくり山の観光部落を散策して美味しい蕎麦を頂く。
そこでスマホで検索しながら店員に安い民宿が無いか聞いた。
するとあまりおすすめできるほどでは無いが少し離れた部落に年代物の旅館があり安いとのこと。

そしてほぼ飛び込みでも宿泊できるとの情報を得て電話をした。
年寄の老婆の様な旅館店員が電話に出て、抑揚のない対応ですんなり予約が取れた。

一通り観光部落を散策とおみやげを選んで買いバイクで宿泊する部落へ向かう。

到着するも確かに年代ものだ・・・
これじゃすんなり即予約が取れると納得しつつ受付を済ませまずひとっ風呂浴びる。

夕食にシンプル素朴でありながら美味しい料理とビール日本酒を食らう。
もう一度貸し切り状態で風呂に入った後に寂れた和室で寝ることにした。

夜中に寝ていると不意に目が覚めた。

仰向けに寝ていて誰かが近づいてくる気配がする。
すると足元で乱れた浴衣姿の長い髪の女が顔をかがめ部屋の端で屈んでいる。
不意に立ち上がったかと思うと一瞬で飛び跳ね向かいの端へ飛んだ。
更に自分の顔面まで飛びついて来たかと思うと「…起きろ…起きろ…」と訴える。
その後、乱れた浴衣をなびかせて壁へ消えていった。

気がつくと翌朝になって朝日で目が覚めた。
旅館の老婆に不気味なできごとを話すと抑揚が無い声でそんなことは無いと。

帰宅する前に再び同じ蕎麦屋により食事と共に昨日の店員にさりげなく話すと罰が悪そうに
「実は安くて空いているから紹介したけどあの旅館過去に事故が起きているんです」と謝罪した。

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