笑い声をあげたお雛様

もう、15年くらい前になりますが、深夜遅くに謎の事件が起こりました。

娘と二人、１２時を過ぎても起きていたある夜、自宅の部屋の中から笑い声が聞こえて来ました。
季節は秋だったかと思いますが、私がパソコンに向かい隣の部屋では娘が机に向かって勉強をしていました。息子は既に反対側の隣の部屋で熟睡しておりました。

我が家は私と子供二人の三人家族です。テレビは付けておらず家の中は静まり返っていましたが、どこからか女性の笑い声が聞こえて来ました。
隣の部屋といってもふすまを外した状態にしてあるので、その笑い声を聞いた娘が私の方を見て来ます。私も娘の方を見ますが笑い声は聞き覚えのない声ですし、娘とは逆方向から聞こえて来ました。

娘が「押し入れ…」と言います。押し入れはお布団や他の物でいっぱいになっていてとても人が入り込めるようなスペースはありませんが、娘も私も押し入れの辺りから女性の笑い声が聞こえて来ました。とても恐怖を感じたわけでもなくとにかく娘と「今の声は誰？」となりました。そして、二人ともに女性の声がはっきりと聞こえたのです。
おそるおそる押し入れのふすまを開いてみましたが、異常は見つかりません。ただ、押し入れの上の戸袋にはお雛様が収納されています。
娘と二人、「お雛様が笑った？」と判断するしかありませんでした。もう数年もお雛様はひな祭りの時期に飾ってあげて無かったので存在を訴えてきたのでしょうか？

その翌年のひな祭りの時期には娘がその奇妙な出来事を思い出してお雛様を飾ったのですが、深夜に知らない声の女性の笑い声がしたのはその時一回限りでした。そのお雛様は娘が結婚して子供が産まれた際に孫用に購入したお雛様と入れ違いに人形供養をしていただきましたが、今思い出しても不思議な体験でした。