祖父母の家で
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
これは僕が小学校に上がる前だから、確か5歳の頃の話だ。
この年齢の記憶なんてそんなに無いのだけど、これだけはよく覚えている。
お盆に父の実家、祖父母の家に行くことになった。
両親が交代で運転してたと思うのだが、予定では夕方には着くはずが、この時期のひどい渋滞で実家に着いた頃には夜中になっていた。
家に着くと、僕が玄関先で眠ろうとしたから、祖父が慌てて玄関横の和室に布団を敷いてくれた。
どうやら、そのまま倒れるように眠ったらしい。
夜中にふと目が覚めて、トイレに行こうとした時の事だ。
僕が生まれてすぐにこの家に来たとは聞いていたが、もちろんそんな記憶は無いから、トイレがどこにあるのかわからなかった。
皆が寝静まり、明かりも点いてない暗い家の中をウロウロしていると、誰かが手を握ってきた。
祖母だった。
こんなに暗いはずなのに、その顔を見上げると、間違いなく祖母だとわかった。
僕は祖母に連れられて、無事にトイレへ行くことができた。
トイレから出ると祖母はもういなかったが、オレンジ色のほのかな明かりが廊下を照らしていて、元の和室に戻ることができた。
翌朝、遅く起きた僕は、仏壇にお参りをするために両親とともにお座敷に入った。
朝早くから線香の匂いがしていたのは、お座敷が僕が寝ていた和室の隣だったからだ。
両親に並んで仏壇の前に座ると、そこには昨日の夜に会った祖母の遺影があった。
やっぱり子供には見えるのかもしれませんね