消えたたこ焼き
投稿者:ミシェル (5)
私がまだ小学生の頃の話なのですが、当時の私は少し霊感的なものがあったように思います。
今は全くありませんが、親が言うには他の人が見えないものが見えたり聞こえたりしていたそうです。
そんな私ですが、ある日家族と一緒に近くの桜祭りに出かけました。
古いお城で開催されていたその桜まつりが私は大好きで、いつも楽しみにしていました。
毎年恒例と言わんばかりに私は両親にたこ焼きが食べたいとお願いしました。
両親も「いいよ」と言って買ってくれようとしたのですが、たこ焼き屋さんの前には長蛇の列が。
しかし両親は私の為に並んでくれました。幼い私はその間暇で暇で仕方なく、並んでくれている両親そっちのけで一人でお城散策に行ったのです。とはいっても城の中には入れないので、その周辺をぐるぐる回っていました。
すると、私の後ろの白いモヤみたいものが。私はてっきり何かの煙だと思って、気にしませんでした。そのまま無視してぐるぐる歩いていると、そのモヤはずっと私の後ろを付いてくるのです。
不思議と気味悪いとは思わなかったのですが、なんとなく私は「人じゃないな」とは感じていました。どれだけ離れてもそのモヤは遅れまいと付いてくるのです。
しばらくしてたこ焼きが食べたくなった私は両親の元へ戻りました。
丁度両親がたこ焼きを買ってくれていた時でした。「何処行ってたの、心配した」と言ってくれる両親に、私は「散歩してた」と適当に返事をしました。もう白いモヤはいなくなっていました。
たこ焼きを食べようとしたら、ふと母が「あれ、あんたたこ焼き一個食べた?早いね」と言ったのです。確かに8個入りのたこ焼きのはずなのに、一個無くなっていたのです。
ケチな母は、たこ焼きが8個入った事を確認していました。私は食べていません。もちろん父も食べていません。むしろ離れた所でタバコを吸っていました。
しかしそんな事を気にすることもなく、私はたこ焼きを食べました。
後で母から聞いた話なのですが、このお城は昔一度崩れていて、再現されたものなんだとか。元々は墓地だったらしく、お城を巡っての争いで命を落とした人のものだったそうです。もしかしてその幽霊が私の後ろを付いて来ていたのかな、その人がたこ焼き食べたのかな、なんて思いました。
たこ焼き美味しかったかな。
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