5年生にもなると、Rに近づく生徒は1人もいなくなった。
最初の頃こそ、興味本位でRのことをからかったり、軽いいじめのようなことをした者もいたらしい。
しかし、例外なくそういったものは皆、してしまったこと以上の代償を払わなければならなかった。
あるものは交通事故によってサッカー選手の夢を絶たれ、あるものはそもそも物理的に学校に来ることができなくなった。
だから誰も近づかないし、関わらない。
だが、その頃の僕は違った。
もしRに、誰かを呪うような力があるんだとしたら、是非それを教えて欲しかった。
できれば殺して欲しかった。
母の新しい彼氏は、時々隠れて僕に暴力を振るった。母の前ではいつも笑顔だけど、僕の前ではその裏返しのように冷たく無機質に僕を殴る。何か、あらかじめ決まっていたタスクをこなすみたいに、淡々と。
でもそれだけが原因じゃない。
時々姉をいやらしい目で見ているのが気に食わない。
そのせいで、優しい姉は家に寄り付かなくなった。
父親なんかいらない。
この男なんか、いらない。
そうずっと思っていた矢先、Rのことが耳に入ったのが3年生の頃。
からかったやつが、足を折ったらしい。
間違って靴を踏んでしまっただけなのに、家が燃えたって。
席が隣になったら確実に体調を崩す。
噂は違うクラスの僕にも届く。
そして、5年生の時。
ようやくRと同じクラスになった僕は、積極的に話しかけに行った。
心配そうな目をするクラスメイト。実際に「やめておけ」と言われたこともあるが、そんなことは関係ない。
僕はあいつを殺さないといけない。
だから、クラスの図書係もRが選ばれればもう片方に立候補したし、うざがられない距離感で毎日話しかけたりもした。
最初から「あいつを殺してほしい」なんて言いやしない。これは何よりも慎重に進めないといけない計画だから。
そしてある放課後、折を見て、たった1人の友人に心のうちを吐露するように、僕はあいつのことをRに話した。
「死ねば、いいのにって。ダメなのに思っちゃうんだ」
自分の言葉に、感情も後から乗っかってきて涙が出てくる。
Rは、そんな僕を本当に心配そうに見つめていた。
「大丈夫、わたしに任せて」


























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