これは、以前訪問介護の仕事をしていた友人から聞いた話です。
友人が担当していた利用者の中に、一人暮らしをしている八十代の女性がいました。
軽度ではありましたが認知症を患っていて、同じ話を何度も繰り返したり、物を置いた場所を忘れたりすることはよくあったそうです。
ただ、受け答えそのものはしっかりしていて、機嫌のいい日は昔の話を楽しそうに聞かせてくれる穏やかなおばあさんだったといいます。
その日も、特に変わった様子はありませんでした。
掃除や身の回りの世話を終えたあと、友人がお茶を淹れているとおばあさんが棚の奥から一冊の分厚いアルバムを取り出してきました。
「○○さん、これ一緒に見てくれる?」
そう言って、嬉しそうに隣の椅子を叩いたそうです。
アルバムはかなり古いものでした。
日に焼けた台紙に、色あせた写真が何枚も貼られていました。
若い頃のおばあさん。
旅行先らしき場所で笑っている旦那さん。
家の前で撮った写真。
食卓を囲んでいる写真。
どの写真も、昭和の家庭にありそうな、ごく普通のものだったそうです。
その中に一枚、友人の目に留まった写真がありました。
居間らしき場所で、三人が並んで写っていました。
若い頃のおばあさんと旦那さん。
そして二人の間に、小学校低学年くらいの女の子が立っていました。
三人とも笑っていて、本当に幸せそうな写真だったといいます。
友人が、
「かわいいですね。この子は?」
と聞くと、おばあさんは迷うことなく答えました。
「娘よ」
そして、女の子を指でなぞりながら、
「この頃は本当に可愛くてねえ」
と笑いました。
ところが、その数秒後でした。
おばあさんの指が止まりました。
「あれ……?」

























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