磯釣りを趣味にしていた男がいた。
ある日男は高波にさらわれ、帰らぬ人となった。
まだ行方不明ということだが、釣り仲間たちはとっくに諦めており、男を偲んだ。
カワハギ釣りのうまいやつで、その場で活〆にして持ち帰り、自分でさばいてキモと刺身で一杯やるのが常だった。
ある時おかしなことを言っていた。
「カワハギっていうくらいだから、捌いたときに皮をビーーっと一気に剥ぐのが快感でな、それがやめられなくて何匹も何匹も剥いでたら、カワハギのやつがギロッとこっちを見ながら言うんだよ・・・いつかおまえも同じ目にあわせてやる・・・って」
飲みながらの笑い話だった。
そんな男の遺体が1週間ぶりに流れ着いた。
引き上げられた遺体がやけに軽い。
男が釣りの時に着ていたカッパの中身は、ズルリと剥けた男の全身の皮だけで、中身はどこかへ消えてしまっていた。
しばらくの間、この磯で釣れるカワハギは、丸々と太っていて、
キモもでかくてうまいと評判になった。
釣り仲間たちがカワハギを持ち寄って、なじみの居酒屋で捌いてもらい、
死んだ男の弔いを兼ねて宴会を開いた。
カワハギの顔が、なんだか死んだ男の顔に似ているような気がした。
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Manaです。ずいぶん前に書いた「カワハギ」というショート作品を、加筆修正して再度アップしました。前回よりも少しだけ怖さと不気味さが上がったと思います。
この作品、一度実験的にAIに読み込ませて「怖い怪談にして」とお願いしたこともあるんですが、どうもAIはまだまだ怪談を描くセンスが乏しいようで、過剰に演出して無駄な言い回しが多くなってしまいます。というわけで、AIに怪談はまだ10年早いと判断して、すべて自筆で修正することにしました。
学校の休み期間中はビギナー投稿も多くなるようですし、自分の加筆修正版もこの中に埋めていこうかな、と思います(笑) お楽しみに。