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心霊

ねこじろうさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

午後9時の配達員
長編 2025/11/01 05:21 8,100view
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朱実が玄関の呼び鈴で目を覚まされた時、すでに午後9時になろうとしていた。

彼女は待ちわびていた。

というのは配達指定の時間の9時に近付いているというのに、なかなか配達員が来なかったからだ。

あわててソファーから降りると、玄関口まで走る。

こんにちは、○○運送です

「は、、はい!」

言いながら朱実はいそいそと玄関ドアを開く。

ジャスト9時だ。

だが何故か目の前には配達員の姿がない。

え?

彼女は訝しげに思いながら一歩踏み出し、右側に視線をやった。

ヒタヒタという足音とともに、薄暗い渡り廊下を配達員の背中が溶け込んでいくのが見える。

ただその歩き方はどこか不自然で、足の不自由な人のように感じた。

玄関の前の廊下には、30センチ角くらいの段ボール箱がちょこんとある。

彼女は荷物を取り上げると、室内に戻った。

※※※※※※※※※※

今年30になる独身の朱実は、よくネット通販を利用する。

商品のバラエティーの多さは当然として、とにかくその便利さが魅力なのだ。

特に朱実のような仕事で帰りが遅くなる者にとっては。

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