怪談「死人茶屋」とは島根県で古くから伝わり、「とある事情」で忘れ去られていった怪談である。京都府にあるK大学のオカルトサークルに所属する私は行きつけの喫茶店にて私が所属するオカルトサークルのメンバー、タカハシ君からこの怪談を聞いたからだ。タカハシ君曰く今となっては島根県を代表する怪談の一つとされた「死人茶屋」を語りづく人はもういないという事であった。なお、タカハシ君は子供の時に亡くなった父方の祖父から島根県の怪談を聞いたという。
さて、この怪談は明治時代、ある若者が島根県鹿足郡を旅している時、ある茶屋を見つけた。そこの茶屋は店主と思わしきが老人がいた。若者は店主に茶を頼む。若者は店に飾られた奇妙な象を見る。
「爺、あの象は何というものだ?」
「あれは我々が信仰する悪霊パズズ様の像でございます」
「悪霊パズズ?そいつぁ悪魔か何かか?」
「その通りでございます。この地域で信仰されている守り神様でございます」
「くだらん。どうせ、悪魔の類だろう」
「いいえ、違います。悪魔はあなたの方です」
店主は短刀を取り出し、若者に向ける。店主は突進してくる。若者は素早くよけ、若者は懐から二十六年式拳銃を取り出し、店主を射殺する。若者は野外で店主の死体を松明で焼くとそのまま、茶屋の中に入り金目なものがあるか調べてみた(どっかの泥ママみたいだ)。若者は茶屋の方に大勢の何者かが押し寄せてきている気配を感じた。若者は茶屋の中に立てこもる。若者は外を覗く、外には死人・・・とどのつまり、ゾンビ達が茶屋を取り囲んでいたのだ。まさに時代劇版ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドとはこの事である。若者曰く
「死人共は10匹くらいいるか・・・。どうせ、あのバズズとかいう悪魔を信仰している爺が黒魔術を使ったんであろう。まぁいい、こちとら武器があるぜよ」
と若者は茶屋に火を放ち、二十六年式拳銃と三十年式歩兵銃と松明でゾンビ達を蹴散らしながら、燃え盛る茶屋から逃亡したのであった。そのまま、若者は金目なものを持って人里へと向かっていったそうである。
私はタカハシ君になぜ、この怪談が広まらなかったのかを聞いた。タカハシ君は
「そもそも「死人茶屋」がそこまで広まらなかったのはそのまんまゾンビ映画過ぎるからなんだ。この怪談を聞いた人たちの大半は「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なんや?これ、ゾンビ映画のパクリやんけ!創作怪談乙!」として誰も「死人茶屋」の事を取り扱わなかったからなんだ。そーゆー事情からか、「島根を代表する忘れ去られていった怪談」になっていったんだ」
と怪談「死人茶屋」が広まらなかった真相と忘れ去られた事情を語る。その話をしている時、喫茶店のマスターが
「オタク等、「死人茶屋」の事を知っているのか?」
と聞いてきた。タカハシ君は
「ええ。そうですけど・・・まさか、マスターも島根県の怪談「死人茶屋」を知っていたんですか?」
と答える。マスターは
「ああ、お客さんの言う通り「死人茶屋」は俺も知っている。俺の母親は元々、島根県出身の人でな。俺がガキの頃に「死人茶屋」の怪談を母から聞かされていたよ。まさか、あの怪談が忘れ去られていった本当の理由がゾンビ映画にクリソツだったからというのは意外だったな。もっとも俺はジョージ・A・ロメロゾンビ映画「ゾンビ」を見て以降、古今東西のゾンビ映画を見まくる大ファンでもあるけどな。それはさておき、これで俺の中にある長年の謎が解決してくれて、スキーリしたよ。はははッ」
と笑いながら、私にコーヒーを差し出す。
終わり。























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