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心霊

籠月さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

探し出す
長編 2025/08/23 22:53 13,033view
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その日も何も変わりのない一日だった。
小学校での授業を終えた僕は一人で家に帰っていた。
僕の家へと向かう道中には少し不気味な道がある。
片方は小さな神社と、遊具がポツンと一つしかない公園。もう片方は背の高い木が生い茂る林に挟まれた夕方になると薄暗い一本道だった。
回り道をすれば明るい住宅街も通れるが、この道が家への1番の近道なのでいつもそこを通っていた。
その日もいつものその道に差し掛かり、地面に散らばった木の枝や葉っぱを踏みながら歩いていると、
ふと視線の先に小さな石が目に入った。
なんでもない石ではあるのだが、その石がなんとも蹴りたくなる絶妙な大きさと高さだった為、僕は何気なしにその石を力いっぱい蹴り上げた。
蹴られた石は前方に勢いよく放物線を描いて飛んでいき…
「いたっ」
僕は思わずぎょっとして立ち止まった。
僕の蹴った石は運悪く10メートルほど先を歩いていたおじさんの後頭部に当たってしまったのだ。
歩いていた時は周りに全く人の気配なんて感じなかったのに…
まるで飛んでいく石を目で追いかけた際に突然目の前に現れたかのようだった。
おじさんは痛そうに後頭部を手で押さえている。
突然の出来事に焦ってしまった僕は、一番してはいけない行動に走ってしまう。
その場を急いで逃げてしまったのだ。

道を引き返して逃げる際、一度だけ後ろを振り向いた。
こちらを向いているおじさんの顔を見てぎょっとした。
痛がっていたはずのおじさんは、歯を剥き出して目をくしゃくしゃにして笑っていたのだ。
その日は遠回りの道から帰った。

次の日の朝、登校すると友達のBくんが話しかけて来た。
昨日の帰り道に突然歩いていた人に話しかけられたというのだ。
『Aくんのこと知ってるかって聞かれたよ。知ってるって答えたらどの学校か教えてほしいって』
「え、それでなんて答えたの?」
『うん、Aくんの知り合いだって言うから教えたよ』
「知り合い?どんな人だった?」
『なんか白い帽子を被ったおじさんだった、ニコニコしてる』
僕はゾッとした。
昨日のあのおじさんも白いキャップを被っていたからだ。
「僕そんなおじさん知らないよ!なんで勝手に教えるんだよ」
『ごめん…なんかニコニコしてて、教えてもいいかなって気分になってしまって…なんで教えたんだろう。でもありがとうって飴もらったんだよ、Aくんにも分けてあげてって2個くれたんだ』
そう言いながらBくんがポケットから取り出した飴玉はとても食べれる状態とは思えないほど透明の袋の中でグチャグチャに溶けて茶色く変色していた。
『うぇ!昨日はすごく美味しそうだったのに』

驚くBくんの手から飴玉を奪い取り僕はすぐにゴミ箱に捨てた。
もう勝手に僕の情報を教えるなとBくんに伝えている矢先に教室の扉が開いた。
『おーいA、昇降口の所にAに会わせてくれって人が来てるぞ』
担任の先生から呼ばれた僕は不思議に思いながらも下駄箱の並んだ昇降口に先生と一緒に向かった。
「あれ、いないなあ…」
下駄箱に挟まれた通路を眺めながら先生がボリボリと頭を掻いた。
「誰だったんですか?」
『なんかAの親戚のおじさんだって言ってたぞ、白いキャップ被った』
「え…」
その時、ちょうど僕のクラスの副担任の先生がその場を通りかかった。
『あれ、2人ともここでなにしてるんですか、もうすぐ朝の会の時間でしょう』
『いや、Aに会いたいって親戚の方がここに来られてたのでAを呼んで来たんですけどいなくなっててですね…』
『え、親戚の方って、本当にAくんの親戚の方なのは確かなんですか?』
副担任の顔が怪訝そうに歪む。
『いや、ただすごく優しそうな雰囲気だったから何も疑わずにAを読んできたんですけど…確かになんで何も思わなかったんだ…?』
『だめじゃないですか先生、不審者だったらどうするんですか!問題になってからじゃ遅いんですよ。もう少し慎重に行動して下さい!』
『いや、本当に仰る通りですなんですけど、え、なんでだ?』
副担任に注意される先生は、自分がその訪問者に何の疑いも向けなかった事に今になってとても困惑している様子に見えた。
僕の頭の中には昨日去り際に見たあのおじさんの笑った顔がこびりついていた。

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コメント(4)
  • 想像してみたらやばい

    2025/08/31/20:34
  • ちゃんと謝ろう

    2025/09/02/16:03
  • 怖いけどなんでオバサンが死んでお母さんも取り込まれたのに逃げるだけでちゃんとは謝らないの?

    2025/09/03/11:55
  • 怖すぎるて寝れん

    2025/09/08/15:53

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