これは僕の大学の先輩から聞いた話です。
当時高校生だった先輩にはある日課がありました。それは、午後10時から5Kmランニングするというものです。
さて、いつも通りランニングをしていた先輩は途中でお腹が痛くなってきました。普段は近くのコンビニのトイレを使うのですが、あたりを見渡してもコンビニがありません。困ったなぁと思っていると小さな公園の中にポツンと建っているトイレを見つけました。
時刻は午後10時半、トイレの電球は切れていたためトイレの中は真っ暗です。かなり雰囲気が怖かったため一度ためらったのですが、腹痛が限界だったので思いきって中に入ることにしたそうです。先輩は個室の前でコンコンとノックをしたあと、個室のドアを開けて手探りで便器をさがしました。その後も手探りでトイレットペーパーを巻き取り、用を済ませた先輩は手を洗っていました。その時、ギィーと横からドアが開く音がしたので、思わず音がした方を見ました。そこには、おじさんが先輩をジッと見つめて立っていたそうです。
「うわーそれは結構ビビりますね。」
「だろ?でも話はまだ続くんだ。」
「へ?まだなにかあったんですか?」
「ああ、実はあのあともう一度トイレに行ったんだ。今度は昼間に。」
「そこでなにかあったんですね?」
「いや、なにかあったわけではないんだ。でもな、一つ恐ろしいことに気づいた。」
「恐ろしいこと?実はそこにトイレなんて無かった!とか?」
「…しか無かった」
「へ?」
「個室が一個しか無かったんだ。」


























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