30年前。突然、町の住民の腹部に直径30cmの貫通創が発生する事件があった。被害者は即死。その貫通創は高温で焼け爛れていた形跡がみられた。
20年前。町に住む複数の人間の肺が突然膨張し、全身の血液が沸騰する事件が発生した。直接的な死因は、窒息であった。
10年前。町の商店街で買い物をしていた家族が、全身がマイナス100℃以上の冷気に晒され死亡する事件が起きた。更には被害者の皮膚には高濃度の紫外線に曝された形跡があったという。
その町では、このような奇妙で不可解な死が頻繁に発生していた。
これは、俺が当時、テレビ局に勤めていた時、視聴者参加型のバラエティ番組の調査で、その町を訪れた時の話だ。
始まりは、視聴者から寄せられた一件の調査依頼だった。
『以前、○○県○○町でバイトをしたのですが、その時のバイトの内容が、町中に変なラクガキをするっていう奇妙な仕事でした。あれはなんだったのでしょうか。探って欲しいです』
俺達調査スタッフは、実際にその町に赴くにあたり、町についての事を調べた。
その結果、その町では以前から『奇妙な事件』が続いている事を知る。
そして、調べ得た全ての事件は、およそ10年周期で発生していることを発見した。
もしかしたら、記録には記されないもっと以前から、同様の事件は起きていたのかもしれない。
更には、調査当時の時期は、最後に事件が発生してからちょうど10年目に当たる年であったのだ。
『奇妙なラクガキ』と『奇妙な事件』。この時点でその関係性は不明である。しかし今年、その町で何らかの事件が生じる可能性がある。
視聴率に繋がる匂いを感じ取った俺達は、早速その町に赴き、調査を開始したのであった。
だが…。
…結果として。
その調査報道が放送される事は無かった。
映像は全てお蔵入り。調査も打ち切られたのだった。
その町は、一件、なんの変哲もない町だった。
過疎で寂れている風でもなく、都心のように栄えている風でもない、平凡な街並み。
俺達調査チームがその町に訪れた時。その安穏とした雰囲気を感じて、「今回の調査はハズレだったか」とチームの誰もが思った。
だが。
よくよくと町の景色に目を凝らせば…。
「あった…。」
ラクガキだ。
商店街の電柱に。住宅の壁に。公園の公衆トイレに。いたる所にそのラクガキは散見していた。
確かに、それは奇妙なラクガキだった。
赤、緑、青の三原色を中心にした虹色を、まだら模様に混ぜ込んで塗りつけたような…。『歪なキラキラ模様』。
ラクガキの中には時間の経過によるものか、薄汚れ消えかかっているものもあったが、全てのラクガキがその歪なキラキラ模様であった。
実際にラクガキを目にした俺達調査チームは、町中に散り、本格的に調査を開始した。
























いままでで一番怖かった!