浴室の怪異
投稿者:タンドリーチキン (2)
私は1人暮らしの女子大生です。都内のアパートを借りて大学に通っています。
夜、シャワーを浴びていました。
湯船にはお湯を入れ、鏡の前で座って髪を洗います。
私は髪が長いので濡らすにも洗うにも時間がかかります。
いつも通り目を瞑って髪を洗っていると、背中がゾクゾクして、後ろから見られているような気がするのです。
浴室に窓はなく、ドアはすりガラスのドアです。なんだか鳥肌が立ってきました。
特に寒い訳ではなく、とにかく後ろに誰かいる気配がします。思わずシャワーを止めて後ろを振り返りました。
ドキッとしましたが、いつも通りの浴室です。それでも寒気は止まりません。
またシャワーを浴びて目を瞑ると、真っ暗な視界のすぐ後ろに息遣いまで感じてきました。
気のせいだ、気のせいだ、と自分に言い聞かせて、とにかく髪を洗い終えようとまた目を瞑ります。
手を髪の上に持っていったとき、手が何か冷たいものに当たった感じがしました。
思わず声をあげて目をあけます。何もありません。
天井から水滴が落ちたのかな、そんな感じでもなかったけどな、と腑に落ちない思いで天井を見上げました。
天井の角のところがカビなのか、黒くなっていることに気がつきました。良く見ると、黒ズミが蠢いているような気がしてきます。
虫だったらヤダなぁと思いながら、目を凝らすと黒ズミが少しずつ大きくなって、細い黒い線のように滴ってきました。
えっ?と思わず声が出て、無意識にシャワーを止めました。
シーンとした浴室にポタッ、ポタッと雫が垂れる音だけが聞こえます。
その間も目は天井の角から離せません。
黒ズミは今は長い髪の毛のようになって天井から下へ伸びてきています。
いつの間にか浴室が冷たく、ガタガタ震えるくらい寒くなっていました。体が動きません。
なに、なに?とパニックになっていると、後ろのドアからカタカタと音がしました。
ドアを見ると、すりガラスの向こうに人影があります。
玄関は施錠したはずなのに、突然誰か入って来たのかと身の危険を感じました。浴室のドアを開くことも出来ず、再度天井を見上げると目の前に女の顔が、、、、
顔は白く、目が真っ黒で、髪は上から垂れ下がって私を覆っていました。
叫ぶことも出来ず、あ、あ、あ、と言葉にならない声を発しながら、這いつくばって後ろに下がろうとしたところで、後ろのドアからバン、バン、バンと思い切り叩く音が聞こえました。
私の記憶はここで途切れています。あまりの恐怖に失神したのだと思います。
ガタガタ震えながら浴室で気がついたのは、浴室に入る前に確認した時間から2時間後でした。
そのときには元通りの浴室で、シャワーは止まっており、天井の黒いシミも消えていました。
私は急いで着替えて、髪も濡れたまま外に出ました。
こんな時間にパジャマで外を出歩くことも出来ず、かと言って家に戻ることも出来ず、家のすぐ近くのコンビニに入りました。
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