小学校4年生くらいだと思います。私は夏休みに入ってすぐに父の田舎に送られていき
そこで夏休みを過ごして、8月の末に父が迎えに来る。という恒例になってまして、これ
は、その夏休みに体験した事なんです。
毎日海で遊んでいた私は、飽きてしまい納屋から自転車を出して、叔母に「ダムに行って来る」
と言い、裏の山道に向かいました。途中、国道沿いの釣具屋によりダムで釣りをしようと思った
のです。畑を突っ切り、農道を自転車を押しながら昇りました。
かなり登ったところで、ダムの頭が眼下に見えたのです。木陰に自転車を置いて、ダムへの降
りていく道を探しました。険しくて降りる道が中々見つからず、一度自転車の場所に戻り
もっと上にいけば逆に降りる場所がみつかるかな?と自転車のハンドルを持った時に
「グエ」「グエ」と何かの動物の鳴き声が上からしたのです。「グググ」「グエ」「グウウ」
上を見上げると木の枝に猿がびっしりと座っていました。
次々と猿は降りてきます。目の前のガードレールに降りたり、道に座り込んだりと数がどんどん
増える。私は猿の群れの真ん中にいるのです。恐怖は感じませんでした
猿たちは移動中に休息しているように、私と自転車の周りに座り込み「グエグエ」「グウウウ」
と声を出し合っているだけで、敵意は無いようでした。すると、身体の大きな一匹の猿が
私の目の前の枝に降りてきたのです。今なら目を合わすなとか多少は猿への知識があるの
ですが、小学生の私にはありません。猿と向き合い目が合ってしまうのです。
大きな猿は黄色い目で私を見ています。
そして私に向かって腕をゆっくりと上げて道の方を指さしました。
まるで「早く逃げろ」と言うように頭をクイクイと動かして道の下を指さしています。
私はここで怖くなり、ゆっくりと自転車に乗り下りの坂道を降りることにしました
途中、すごいスピードで山道を降りていきます。かなり麓まで降りたところで畑で作業して
いる人たちが見えました。ここまで来れば猿も追ってこないだろうと止まります。
「上からおりてきたね。なにしにいったの」と作業してたオジサンが私に聞いてきます
「ダムで釣りをしにいったら猿に囲まれた」と言うと、「へえ、それは珍しいね、怖かった
だろう?」と言うので「木の枝一杯に猿がいた」と言ったらオジサンが大笑いして
「この辺はせいぜい20匹ぐらいしかいないよ」と言うのです。
私が見たのは猿だらけの木と道に降りて来るのやガードレールに群がるほどの数で20匹
どころの数ではありません。「百匹くらいはいた」と言うとオジサンは「ハハハ・・」と
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。