冥界のトンネルで出会った二人の女の子の話
投稿者:ねこじろう (147)
この話は41歳のベテラン看護師である関屋さんにお聞きしたものです。
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現在彼女はN市内にある救命医療センターに勤めております。
そこは事故や病気などで身体に重篤な傷病を負った人たちの治療や療養を専門に行っているところです。
彼女はそこに勤めだしてもう五年になり、その間様々な方々の治療に携わってきました。
関屋さんは自他ともに認めるリアリスト(現実主義者)であり自らが実際に現実で体験したこと以外は信じないという世界観を持ってましたから霊的な現象などに関しては否定的です。
しかし三年前に自宅で倒れてセンターに救急搬送されてきたSさんという女性との関わりの中で、彼女は自らの世界観を変更せざるを得なくなるのでした。
以下は関屋さんの談です。
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「それは三年前の初夏のことでした。
ちょうどその頃といえば私にとっては公私ともに大変な時期でした。
まず私的には、
当時私は二人目を妊娠していて大分お腹も目立ってきていました。
そして公的には、
勤めている医療センターで警察ざたに発展するような大変な事態が起こっていました。
骨折で入院していたある小学生の女の子が、ある日忽然と病室から姿を消してしまったのです。
この子は私の担当だったのですが、12歳の女の子にしては口数の少ないどこか暗い感じの子でした。
でも私の大きくなったお腹をさすりながら
『早く会いたいな。赤ちゃん元気に生まれてきたら良いのにね』
とか言うような優しい一面もあったりして、私にとっては印象的な患者だったのです。
彼女の母親は荒れた日常生活を感じさせるようなちょっと地味で疲れた感じの人で、たまに見舞いに来たりしたときも女の子は嬉しがっていたというより、自分の親なのにどこか気を使っているようだったことを今も憶えています。
たまたま見舞いに来ていた母親のヒステリックな訴えで女の子がいないということが分かった後は、すぐに病院職員たちが手分けして院内のあちこちを隈なく探したのですが見つかりませんでした。
悲しい
コメントありがとうございます
─ねこじろう