冥界のトンネルで出会った二人の女の子の話
投稿者:ねこじろう (147)
それで止むを得ず警察に来てもらって捜索ということになったんです。
捜索は病院周辺も含めて20日ほど続きましたが結果として女の子は見つからなかりませんでした。
防犯カメラなどの分析からある程度分かったことは、
当時既に歩けるようになっていた女の子が一人でこっそり病室を抜け出し廊下を歩いていたというところまでは判明していたのですが、その後の消息は掴めなかったようです。
そんな感じでただでさえ重労働なのに加え、このような担当患者の失踪と言う前代未聞の失態が重なったこともあり当時の私の心労は極限に達してしまい、それが原因かどうか分からないのですが、とうとう流産してしまったんです。
そして女の子が失踪してから一月ほどが過ぎたある日のことでした。
その日N市郊外にある自宅台所で晩御飯の準備の最中だった専業主婦のSさんは、突然頭部に激痛が走り倒れます。
その後はご主人の緊急連絡で彼女はセンターに救急搬送されました。
Sさんはくも膜下出血を発症していたのです。
急きょ手術が行われたのですがその処置は困難を極め、結局手術が終わった時は既に日が変わってました。
その後も絶対安静の中Sさんは数日間寝たきりという状態が続きますが、ある朝彼女は突然意識を取り戻します。
それはSさんの手術からちょうど一週間が経った日の朝のことでした。
彼女の担当だった私がいつものように朝の検温に行くと、頭部に包帯を巻いてベッドに仰向けに横たわっていたSさんが両目を開き天井辺りを見ながらキョロキョロしていたんです。
その後Sさんは順調に回復していき、それから三日後には手足を動かしたり言葉を発するようになり一週間後には私と会話まで出来るようになりました。
そしてSさんの入院が始まっておよそ一カ月が経ったある日のこと。
その日の朝方はいつも以上に体調が良さげだった彼女は検温を終えた後、手術後に体験した現実とも夢ともいえない不思議な出来事のことを私に話してくれたんです。
『看護師さん私ね、、、
自宅の台所で料理してる時、突然頭に激痛が走って倒れたでしょ。
そしたら一瞬で崖っぷちから真っ逆さまに急降下したかのような感覚に襲われてね、気が付いた時には何故か古いトンネルの中のようなところに倒れていたんです。
そこは石造りで天井がアーチ型をしててあちこち青かびがあってね、何だか薄暗くてひんやりしてました。
心細くてキョロキョロと辺りを見回していると、前方の彼方にポツンと小さな光が見えたんです。
それで取り合えずそっちに向かってフラフラ歩き出しました。
その時薄手のワンピースしか着てなくて裸足だった私は、両腕をさすり震えながらヒタヒタ歩いていました。
それからどれくらい歩いた頃かな、ふと前を見ると遠くの方にボンヤリとした白い人影と黒い人影がこちらに近づいてきているのに気が付いたんです。
『誰だろう?』と目を凝らすと、一人は白いドレスを着た女の子でした。
12、3歳くらいかな?何か青白い顔ですごく消耗した感じだったのを憶えてます。
悲しい
コメントありがとうございます
─ねこじろう