母の生まれた謎の集落
投稿者:kana (210)
もう齢80になる母に、肝臓癌が見つかったのが半年ほど前の事だ。
手術で除去するのはかなりのリスクがある事。
体力的に大手術には耐えられないかもしれない事。
それらを考慮し、ボクら家族はこの事は母には伏せ、
残りの余生を好きなように生きてもらおうと考えた。
ある時、iPadでグーグルアースを使い、母の生まれ故郷の様子を見せてあげた。
便利な世の中になったものだ。最後に母が故郷へ帰ったのは、かれこれ40年ほど前になるだろう。それほどまでに、母にとってはなかなか帰れない土地でもあったのだが、今ではネットで簡単に路地裏まで見ることができる。
母は非常に感激し、また興奮していた。かつて通った小学校もまだ健在だった。友達の住んでいた家や懐かしい店もまだある。次々に記憶がよみがえってくるのか、今まで聞いたこともない話がツラツラと母の口から出てくる。
この場から動かずとも、遠い地に行った気分になれるのだから本当に素晴らしい。
だが、母からさらに思わぬ話を聞くことになる。
「本当はね、ここよりもっともっと山奥で生まれたのさ」
聞くと、この町のさらに山奥に、かつては小さな集落があり、林業や農業、狩猟なんかで人々は生計を立てていたらしい。
その集落のすぐそばに、やがてサナトリウムが作られる。サナトリウムとは結核患者や精神病患者などを気候のよい土地で安静に収容するための施設であり、昔はたくさんあったらしいが、医薬品の発達によりその必要性がなくなり、徐々に消えていった施設である。
ていの良い〈隔離施設〉とも言えた。
サナトリウム建設に合わせて道路も整備されるのだが、そのことが逆に集落から町へ人が流出する導線となってしまい、やがて集落は自然消滅するように消えたのだという。
確かに、グーグルアースを見ても、それらしき集落は見えず、ただ、そのサナトリウムの廃墟らしき建物がポツンと山奥の木々の合間にあるのを見つけることができた。
ボク自身が廃墟好きということもあったが、母と一緒にこの地を目指すのも悪くないと考えはじめていた。おそらく、母にとっては人生最後の帰省となるだろう。
・・・・・・
某月某日、ボクは母を連れてクルマを出した。今回は急なことでもあり、二人旅である。
父も入退院をつづける身であり、そちらは妹に任せて来た。お小遣いはたっぷり渡してきた。
クルマで2時間。某港についた。ここからフェリーで4時間である。
フェリーの中ではできるだけ身体を横にして休んでもらった。
今日は現地についたら町中をさっと走り、ドライブしてそのままホテル宿泊である。
・・・・・・
翌日は朝食を食べてからホテルを後にし、母の懐かしい思い出の故郷を散策した。
小学校は近代化されてきれいになっているが、生徒数が減っており、廃校の危機らしい。
懐かしいお店もあったが、あいにく母の知り合いと出会うことはできなかった。
さて、いよいよ母の本当の生まれ故郷だという山奥に入ってみることにする。
ボクのクルマは小さいが四駆である。乗り心地はそれほどよくもないが、山道には強い。
クロスカントリーはお手の物だ。もっとも、病弱な母親を助手席に乗せているので、無茶はできない。とりあえず行けるとこまで行くつもりだ。
kamaです。今回もお読みいただきありがとうございます。実は、これを書いている最中に首にものすごい痛みが出るようになり、10日の日は会社を休んで形成外科へ行きレントゲンを撮ってもらいました。骨に異常はなく、原因不明。とりあえず薬をもらってきたのですが、もう本当にひどい痛みで、頭が首から落ちてしまうのではないかという痛みで、寝返りを打つときは両手で頭を押さえながらしていました。医院でもらった薬が効いたのか、その後は回復してきて、やっとこのお話を書き終えることができました。なので予定より2~3日余分に時間がかかってしまいました。
・・・まぁ、霊障じゃないと思います(笑)薬で治りましたからね。
もし、読者のみなさんにも首が痛くなった人が出てきたら・・・その時はタイトルに【霊障注意】って入れます! よろしくお願いします。
凄く読み応えがあるお話でした
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただけたでしょうか。首は痛くなってませんか??
亡くなった人の首をホルマリン漬けって、奇妙な風習ですね。ちなみに読んだ後、首の痛みは出なかったがヘルニア持ちです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。お体、お気を付けください。
読んだ翌日、朝目覚めたら全く右腕があがりません。とりあえず湿布で様子をみて良くならないようなら病院へいこうと思います。年のせいかも。
↑kamaです。コメントありがとうございます。その後右腕はいかがですか? シップならロキソニンテープよりケトプロフェンテープの方が効きますよ!! 他に身体の調子が悪くなった方はいませんか~?? みんな集まれー!! もはやこのコメント欄がサナトリウムだ!!
あっ、そうそう・・・この話に出てくる生首のホルマリン漬けですが・・・主人公も言っているようにホルマリンではなさそうですよね。どっちかというと、ハーブ酒に近いような・・・
rarkです。とても面白かったし、とても参考になりました!!
↑kamaです。rark様!??ひょえ~~コメントありがとうございます!もったいなきお言葉。でもボクなんかまだまだですよ。みなさんのお話を読んですげーなーと思うことが多いです。奇々怪々さんは自由に書かせてくれるところなので安心してもう100話も書いちゃいましたが、まだまだ言葉足らずや逆に言葉が多すぎる部分もあったりで日々いろいろ考えながら書いてます。rark様の作品ももちろん読ませていただいております~~。ありがとうございます。
kamaです。どうやら韓国語のYoutubeチャンネルで朗読されたみたいです。ありがたやありがたや。何言ってるかはわからなかったですが、とても贅沢な作りで感激しました。
何か凄く韓国っぽいな〜とは思ってた
↑kamaです。コメントありがとうございます。ナルホド、これは目からウロコです。そうやって見ると物語全体がなにか怪しげな雰囲気をまとってより楽しめそうですね。お話の中ではあえて地名は出していないし、変に特定されると困るのでフェリーの時間も適当にして、方言もいろいろ混ぜてやってるのですが、なるほど~韓国かぁ~。こりゃー韓国を舞台に1本書いてもおもしろいかもしれないですね。
とても読みやすく読み応えのあるお話でした。
↑kamaです。コメントありがとうございます。もう今までさんざん読みにくいだの話が長いだといろいろ言われてきましたので、読みやすいなんて言われるととてもうれしいです。ありがとうございます。これからももっと精進いたします。
すごく不気味で読み応えがある名作でした
↑kamaです。コメントありがとうございます。お褒め頂き大変感謝しております。
次回作・・・いや、次々回くらいかな~・・・もっと怖いの出します。お楽しみに。
夢にまで、でてきそうな怖いのお願いします。
とても面白い内容でした
読み終わったらちょと首が痛くなってきました。どうすればいいですか?教てくださいKama
さん
五郎って方は女性の人ですか?クビは痛くありませんが…読み終えたアトなんとなくそう思えました。
最後のサナトリウムと周辺の集落跡地の火災は、お兄さんが、火を放ったということなのでしょうか??
とても読み応えのある話でした。
↑そこは描かれていませんから、想像するのが一番楽しいかもね。
もしかしたら、集落の謎の住人達と壮絶な戦いがあったあとでの火災かもしれないし、
お兄さんも死んだのかもしれないし、生きてるかもしれないし、
集落の人間たちはそもそも日本人としてカウントされていない人間なんじゃないのか、とか
いろいろ想像が膨らみます。
実は、集落の人々はサンカだった説