CHILD IN CAR
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
ある日の事、私の運転で妻と海沿いのカフェまでドライブに行くことにした。
その途中にはいくつかの山が連なっていて、少し長い距離の山道を通る事になる。
山道と言っても道幅は広く、カーブも緩やかで比較的走りやすいのだが、いくつか急カーブがあり、しかもガードレールが無い区間もあるから不慣れな人にとっては油断はできない道路だ。
家からしばらく走ってその山道に差し掛かった頃、かなり先の方に1台の小型車が見えた。
小型車の運転手は山道が不慣れなようで、私の車はすぐに追いついてしまった。
小型車には前に二人乗っているようだったが、不安定な走り方している事もあって、私は少し距離を取ることにした。
この辺りからは、左側は山の斜面でカーブの先が見えづらく、右側は崖のような斜面でたくさんの木々が生い茂っている区間だ。
とある左カーブに差し掛かった時だった。
「うわっ、何だ!」
小型車が急ブレーキをかけたのだ。
私は思わず声を出してブレーキを踏み、距離を取っていたおかげで何とか小型車にぶつからずに済んだ。
小型車は何かを撥ねた様子で、一瞬止まった後ゆっくりと走り去っていった。
何かが道路に落ちているのかもしれないと思った私と妻は、徐行しながら辺りを見渡していた。
「あれよ、あれ…。」
目がいい妻が何かを見つけたので、私は妻の視線の先を見てみた。
道路の左側にある土の斜面に、小型車が跳ね飛ばしたであろう小動物が横たわっていた。
そこはガードレールが無く、野生動物の通り道にでもなっているような場所だった。
動かなくなった動物の傍らには、その子供らしき小さな姿がたたずんでいた。
「あれってタヌキね…可哀そうに…。」
妻がそう言ってゆっくりとそのそばを通り過ぎた時、その子供であろうタヌキは、私と一瞬目が合うと斜面を駆け上がり逃げていった。
私も小型車も念のためゆっくりとその場を通り過ぎた。
その後、小型車は相変わらず不安定な走りをしていたが、だんだんと様子がおかしくなってきた。
不慣れな道なのは仕方が無い事だが、何となく左右にフラフラしていてブレーキのタイミングもおかしかった。
「あの車、タヌキとぶつかってどこか悪くしたのかもな…。」
私は妻にそう話しかけると妻はこう言った。
「あれ?後ろに誰か…子供が乗ってるみたいよ。」
「え?」
思いがけない返事に私は少し戸惑った。
「だってほら、今起き上がって後ろに振り向いたわよ。」
「本当だ。確かに子供…かな?」
タヌキそば食べたくなってきた( ´∀`)。
語り口調が自分好みの作品でした!
昔タヌキを轢いちゃったこと思い出した
スピードの出しすぎは注意
気になった所があったので、加筆・修正しました。
その結果、短編から長編になりました。
作者より
事情徴収→事情聴取も修正すべきかな!
そんなバカな間違い…ホンマや!
作者より
狸の子が、人間の子供に化けていたのかと、、。
肉眼では人間の子どもに見えたはずの物が、映像ではタヌキに見えたというのは不思議ですね。
作者より
ON BOAD –> ONBOARD ですね。
なお IN とすると、部品みたいな語感になるそうです。
そんな事があるんですね。
確認した所、BOARDの綴りが間違っていたので修正しました。
また、「onboard(onとboardが繋がっている)」という単語はありますが、「CHILD(又はBABY) ON BOARD」の場合は「ON BOARD(onとboardは離れている)」という表記が多いようです。
作者より
そもそも急カーブとか、ガードレールないとか、そんな危険な道を運転してまで、ドライブしたくない。
たぬきって美味しいのかな?