バイト先に来た3人(もてぃすさん修正前)
投稿者:rark (33)
「バイト先に来た3人」
僕が高校1年生の頃。
夏休み中に、田舎の方に1人で帰省し、そこから部活に通うことになりました。
しかし相変わらずの金欠で、どうしようか悩んでいたとき、ひとつの、焼肉屋のバイトのチラシが目に入ります。
しかも高校生大歓迎ということもあり、夜の部で働くことにしました。昼間は部活、夜はバイトという生活はかなりしんどかったし、僕の学校はバイトは禁止だったのですが、こんな田舎に知人なんて来ないだろう。という、
バレなければ犯罪ではない理論で、次の日からバイトとして働くことになりました。僕の仕事としては基本的に接客で、お客さんが来たら席に案内する役割。
まぁでも、フレンドリーなことと、声を出すことには自信はあったので、接客はすぐに慣れることが出来たんです。
バイトを初めて2日目、その日はお客さんが多く、かなり忙しかったんです。働くってこんなに大変なんだな。って思っていたとき、3人組のお客さんが入店してきました。
1人は帽子を被った髪の長い女性。
1人は、工事現場に用いるような作業服を着た男性。
そしてもう1人は小学生のような格好をしている、背の高い男性。
しかし3人とも俯いていて顔は見えません。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「……」
「ご予約はされていますでしょうか?」
「えっと…、なにかお困りでしょうか?」
しかし、3人とも口を開く気配はありません。10秒ほど沈黙が続いたとき、チリンチリンッと店のドアが開く音が聞こえ、別のお客さんが入って来ました。すると、3人組の1番先頭にいた女性が、
「…またくる」
と言って、その3人組は店から出ていきました。
次の日、夜の9時頃、また昨日の3人組が入店してきました。
「いらっしゃいませ。」
「………」
昨日と同じく誰も喋りません。しかし、先頭の女性がゆっくりと右手を動かし、ちょうど今注文をとっている坂口さんの方を指さして、
「…あれ」
と呟きます。かなり店内がガヤガヤしている中、何故かその女性の小さい声が、まるで耳元で言われたような気がします。
「えっと……」
しかし3人組は、昨日と同じようにくるっと後ろを向いて、店を出ていきました。
その3人組が帰ったあと、僕は急に尿意を催し、少しの間代わりを頼んで、トイレに駆け込みました。
従業員用のトイレは店の奥側にあり、上の小さな窓がいつも空いているので、冷房があまり行き渡らずいつも蒸し暑いんですね。
しかしこの日だけは何故か涼しかったのを覚えています。用を足したあと、外から話し声が聞こえてきます。
「安かったよなぁぁ!」
あの3人組の中の帽子をかぶった女性の声。しかし、あんな陰気な人が、ここまで、しかも店の裏側で叫ぶことがあるだろうか?すると、
人身売買?
こわ~